ドイツにいたころ、ドレスデンで偶然日本人のご夫婦と
知り合い、ドナウ川の話になった。私がドナウ川の 川下りは、きっとお気に召すと思いますよ、と提案すると、 若いご夫人が、言下に言葉をさえぎって、 「いいえ、長良川の水の美しさは、こんなもんじゃござい ません!」とおっしゃった。 涼風の吹くドナウ川沿いのレストランでワインを飲みながら、 岐阜のお国自慢をたっぷりうかがったその日から、いつか 機会があれば、長良川を見てみたいと思っていた。 ![]() その時知り合ったご夫婦ではないが、ちょっとしたご縁が あった方からお招きを受け、長良川で花火と鵜飼の夕べ を楽しむことになった。 ![]() 花火も豪勢だったし、鵜飼船に乗る経験も楽しかった。 養殖でない、天然の鮎もいただいた。地方の素封家の 心のこもったおもてなしの数々に、都会のちまちまと した接待と比べて、なんとスケールが大きいのかと感じ 入った。 ![]() そのご夫妻は、二男一女のお子もちでみなさん結婚なさって いる。花火の時には、近くに住む子供たちが両親の家に 集い、手作りのおかずを運び込み、日没前にみんなで歩いて 河原に向かった。幼い子供たちの手を引いて、おしゃべりし ながら歩いた。 河原には、すでに何万人という人々が集まって、 それぞれの桟敷で宴会が始まっていた。じつに日本的な いい光景だった。 赤ん坊から、老年まで一家族がいっしょの桟敷に坐って お弁当を食べながら、空高く打ち上げられる花火に歓声を 上げる。客人をもてなすのに、家族全員を呼び集め、 一同うちそろって食事できる贅沢は、今やだれにもできる ことではないとうらやましく感じた。 おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな 芭蕉 ▲
by tamayam2
| 2008-07-31 08:52
| たび
岐阜県多治見市で37度を記録した26日、岐阜市に出かけた。
暑いことは、承知で出かけたのだから、暑さの話題はすまい。 ![]() 岐阜に来たからにゃ、岐阜チョウで有名な 名和昆虫博物館に立ち寄らずにはおれまいて。 ギフチョウは、日本の固有種で、なかなか本物を見ることが できない。この博物館では、幼虫を見ることができた。 ギフチョウ(アゲハチョウ科 Ruehdorfia japonica)については、 この頁の「春の舞姫って」をごらんください。 その他にも子供たちがワクワクするような世界の珍しい虫の 標本がいっぱい。全国でも類を見ない昆博物館である。 ギフチョウは西日本と東日本に住む種類が異なっており、 東日本には、主にヒメギフチョウが住む。 (上の看板の中段、右から2番目がギフチョウ) その棲み分けの区分線をギフチョウ線と呼ぶそうだ。 夏休みに捕虫網を持って野山を駆け回ったのは、はるか昔の 話・・・。今は、都会で、ジーと暑苦しく鳴くセミの声を 聞くことも少なくなった。 ![]() 金華山頂上 で見た キアゲハ。 ![]() 揖斐川沿い で見た ヒトツメ オオシロ ヒメシャク、 あるいは、 クロスジ オオシロ ヒメシャク (シャクガ科) この蛾は、眼状の紋がギョロリとしていて迫力満点だった。 追記:26日多治見で37度と書きましたが、正確には39度でした。 読者から指摘がありました。ありがとうございました。 39度!?!?・・・ヒトの体温で言えば、もう完全にお病気ですね。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-29 09:04
| たび
7月19日、ニッコウキスゲが三分咲きの霧が峰高原をちらと
横目で見ながら、その一角にある八島ヶ原湿原へ行ってきた。 朝9時半ごろ着いたのに、もう駐車場は満車。一台出ると、 一台入る方式で、約30分ほど待たされた。 ![]() 八島ヶ原湿原は、下諏訪観光協会が管理している。駐車場の係りの おじさんも、ヴィジターセンターの人も、町の職員なのだろうか。 入口にトイレも完備していて、信じられぬことに入場料は無料! (人手がかかる公園管理には、わずかでも入場料を取ればいい のに、と日頃から金の出入りにシビアーなtamayam2は思う。) 湿原とか、川べり、沼地とかに関心がある私は、前からここを 訪問したいと思っていたのだが、なかなかチャンスがなかった。 八島ヴィジターセンターのBlogに、開花情報などくわしい。 広大な湿原の周りを散歩しながら、高原の植物を見るのは楽しい。 短い夏の間に、命を次世代につなげるため、虫たちも、鳥たちも 活発に動き回っている。ああ、夏はいいなぁ~と心から思う。 ![]() 私が見た 花のうち、 珍しかった のは、 コウリンカ (紅輪花 キク科 Senecio flammeus ) 絶滅危惧Ⅱ類(VU)だということだ。 ![]() 歩道とロープで、人が湿原に立ち入ることができないように 管理されているからこそ、生存が維持されているのだろう。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-25 06:34
| 日々のできごと
先回、ドイツのメルヘン街道のお話をしました。
ドイツの切手にメルヘン(童話)をテーマにしたものが あったような気がしたので、探してみた。 ![]() ずいぶん昔の、東西ドイツに分かれていたころの切手。 左は、グリム童話の白雪姫ですわね。 ガラスのお棺の中の白雪姫は、継母の毒リンゴを食べて 死んでしまったのです。悲しむ小人たち・・・・。 そこへ、白馬にまたがった王子さまが、飄然とあらわれて、 ・・・・めでたし、めでたしという結末でした。 女の子が、どんなに窮地に陥っても、いつか、私の王子さま が、マントを翻してやってきてくれる・・・と信じて疑わ ないのは、きっと、白雪姫のこのシーンが焼き付けられて いるのでしょうね。 この頃は、子供向けの童話には、どぎつい刺激的なシーンを 伏せて、おだやかな結末に行き着くように作り変えられる とか。グリムの原作は、いじめや拷問、殺人のシーンさえ ある。森の中の一人暮らしのおばあさんが、平然と子供を 釜ゆでにしたりするもの。 右の切手は、ドイツの国民的漫画家、ウィルヘルム・ブッシュ (Wilhelm Busch 1832—1908)の描く子供の世界。 『Max und Moritz』 (マックスとモーリッツ)のキャラクターです。↓ ![]() この子たちは、大変な いたずら好きで、 大人をからかっては、 大騒動を巻き起こす。 子供だって負けてはいないのです。 ドイツの子供たちは、幼少時から性悪説を学んでいるみたい ですよ。すなわち、 自分の安全は自分で守らないとだれも助けてくれない。 うっかり甘い言葉を信じてしまうと、森の中の魔法使いのおば あさんに釜ゆでにされる危険もあると。 童話を通して冷厳な社会のルールを学んでいるようにも 見えます。メルヘンという言葉は、けっして甘美なイメージ ばかりではないんですよ、じつは。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-23 09:30
| 日々のできごと
海外から友人が来ると、茅野市、ヴィーナス・ライン沿いの
別荘にご案内する。なぁに、別荘たって、2DKのアパート です。それに、ヴィーナス・ラインたって、フツーの田舎道 なんですよ。 その通りの東側に、国道299号線 通称メルヘン街道 が走っている。 なんでも、ドイツ中央部から北に抜けるメルヘン街道に 風景が似ているから、そういう名前がついたということだ。 ![]() 本場ドイツのメルヘン街道は、グリム兄弟の生地、ハーナウ から北上して、『赤ずきん』のアルスフェルド、カッセル、 『いばら姫』のザバブルグを経て、ハーメルン、ブレーメンに 至る南北600Kmの街道。 どなたも一度は『ハーメルンの笛吹き男』や、『ブレーメンの音楽隊』 の怖くてドキドキする童話を耳にしたことがおありだろう。 メルヘン(Maerchen)というのは、ドイツ語で童話、おとぎ話 のことなのです。 こういう街道を通ってドイツ人などを案内するとき、その 名前がちょっと気恥ずかしい・・・のですよ。 白樺街道というような日本名だと助かるのに・・・。 何がメルヘンなの?と聞かれても説明に窮してしまう。 そのメルヘン街道の一番高いところは、麦草峠といって 標高2127m。冬期には、通行止めになる。 ![]() 18日、 Blog仲間の Nick-1さん のところで 知った麦草 ヒュッテ 野草園に 立ち寄って みた。 ![]() 私にとって初めて見た花は、ヨツバシオガマ。 葉がノコギリ草のようにギザギザで、確かに4枚の葉で、 花茎を支えている。花の中央に鳥の嘴のようなものがあり、 その部分の色が濃い。高さは、10~15cmぐらい。 写真上:キバナノヤマオダマキ(キンポウゲ科) 写真中:テガタチドリ(ラン科) 写真下:ヨツバシオガマ(ゴマノハグサ科) ▲
by tamayam2
| 2008-07-22 11:07
| 日々のできごと
え~、東京は、下町、入谷(いりや)というところが
ございますナ。そこでは、例年7月6日から、朝顔市が 開かれます。ところが、今年は、洞爺湖サミットのせいで、 開催時期がずれ、18日―20日に変更になったとかです。 ![]() 18日の早朝、わたくしメもさっそく出かけてまいりました。 どうです、この若い女性の粋な姿。いなせなモンじゃ ござんせんか。(宮沢りえ風ですナ。団扇を持つ手つき!) ![]() 背後に カメラを 構える手が 写って しまい ました。 (無粋な モンを お見せ しやした) 奈良時代に薬用として中国から伝来した植物だそうですよ。 江戸時代にゃ、凝り性の職人によって、色とりどりの 品種が作られたとかです。 ヨーロッパじゃ、バラやチューリップの品種改良が さかんに行われて、珍種の取引で多額な利益を得た商人が おったり、はては、殺人事件にまで発展したそうで ございますよ。わが大和の国では、アサガオの栽培ですナ。 平和なモンです。 たいていの行灯(あんどん)仕立ては、金2000円也で 売っておったようですが、珍しい新種ですと、それよりさらに 高額ですナ。アサガオと言うても、当節はけっこうな お値段ですよ。 (写真下)一人で、3鉢も買う方がいらっしゃる、と 思いきや、ようく見たら、この方は、宅配便のおじさん でした。 ![]() おつむの良い方がおられるんですナ。出勤前に入谷で鉢を購入、 自宅で受け取るという寸法ですナ。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-20 19:34
| 特別なできごと
帰国してから、ちょうど一年経った。仕事をしていた三年間は
あっという間だったが、留守にしていた日本の家の積もり 積もった片付け物に、一年かかってしまった。 仕事を辞めたので、仕事関係のものを片付けた。と同時に、 ライフスタイル自体が変わったため、今まで必要だったものが 不要になり、思いがけないものが必要になった。 その仕分けと捨てる決意が大変だった。 ![]() 夏休みももうすぐ。公園の池では、魚獲り網をもった子供たち が、ザリガニをねらっている。池の周りには、メタセコイア。 メタサコイヤ(スギ科 Metasequoia glyptostroboides) この木は、あちこちの公園でよく見かけるが、こんなに 密生して植えても大丈夫だろうか。なにしろこの木は、成長 すると、35mにもなる。 北米やヨーロッパで、見上げるような高木をたくさん見た。 秋の紅葉もいいし、落葉した後の樹形もすばらしい。 英語では、Red woodの種類。 ![]() メタセコイヤ の若い球果 → 6月28日 足立区 3月に日暮里・舎人(とねり)ライナーが開通し、東京の北東部に アクセスしやすくなった。沿線の舎人公園は、まだ若い公園 なので、樹木も若く、照りつける日差しをさえぎる樹木が少ない。 ![]() 駅前に、なんだか植木の見本市のように種々さまざまな木 が植わっていた。都の公園課のような係りの方がともかく 植樹せよ、という命令に従うために一所懸命に仕事をした らしい様子がうかがえた。 その中で、ヤマモモ(ヤマモモ科 Myricaceae rubra)の 実がたわわになっているのを見つけてうれしかった。(上) ![]() クマシデ の雌花が ← ホップの ような房を 垂らして いた。 これも、街中ではあまり見ない日本特産の木なので、出会えて よかった。 クマシデ (カバノキ科 Carpinus japonica) ▲
by tamayam2
| 2008-07-17 06:54
| 日々のできごと
白神山地の山歩きをしているとき、ウリノキの花に出あった。
長い筒のようなつぼみが開くと、花弁をくるくる巻き込んで 開花する。その姿は、女性のかんざしのようだと言われる。 ![]() ウリノキ(Alangium platanifolium ウリノキ科) 私は、この花を見ると、韓国の女性のチョゴリ(上衣)の 胸元を飾るノリゲのようだと思う。近ごろは、ケータイ電話に たくさんのストラップをつけている方がいらっしゃるが、 ノリゲは、現代風に言うと福を呼ぶストラップ かな。 ![]() 朝鮮・韓国の伝統文化には、こうした紐(ひも)を編んで作る メドゥップ(組み紐)という手仕事がある。編んでいく途中で 刺繍した小作品や天然石などをはさみ込んでいく。民族服の 服飾品はノリゲと言われるようだが、大きな作品は、壁に 掛けるだけでなく、箪笥(たんす)など大切な家具の金具に 引っ掛けてお守りのようにして使う。 幸せな人生を過ごせるように、親が嫁ぐ娘のお道具につける お印のようなものと言ったらよいかもしれない。 韓国の友人からいただいたものが、家にいくつかある。 伝統的なものは、手がこんでいてりっぱな工芸品である。 このけっこうな飾り物を、私は海外生活にも持参し、衣装 ダンスや、飾り棚のノブに引っ掛けて愛用していた。西洋の 重厚な家具にもよく似合い、西洋人の目を引く小道具と なった。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-12 10:24
| 日々のできごと
7日から青森県の白神山地の一部(緩衝地帯)を歩いてきました。
総面積は、130.000ヘクタールもある広大な土地のほんの一部分に 足を下ろした程度でしたが、雨上がりの滑りやすい山道で、 私としては、けっこう難渋しました。(まだ、大腿がいたい。) ![]() ブナの大木が茂るあたりの土地は落ち葉でフカフカ。 自然の貯水庫と言われるだけあって、足元からじわ~っと 水分が浮き上がってきます。 熱帯雨林さながらの湿気と暑さの中で、顔から汗がしたたり 落ちました。途中で飲んだ湧き水のおいしかったこと! ブナ山全体が天然の雨水の濾過装置になっていることを納得。 濾過された水は、谷川を経て海に注ぎ、海中のプランクトンを 育てて、魚も養っているそうです。 ![]() すこし、 怖かったこと。 ガイドさんの 案内で 山道を歩いて いたとき、 異様な匂い がしました。 動物園の檻の前に立った時のような匂い。 山の知識のある方が、ピーッ、ピーッと鋭い笛吹く。 やっぱり、月の輪グマが通った跡だったようです。(汗) ブナの大木の幹にも、黒々とした熊の爪跡が刻まれている のです。森では、熊に“小熊のプーさん”のような幻想を もってはなりませんぬ。けっして、なりませぬ。 私:どうしてあんなに臭いの? (愚問) ガイド氏:熊は、風呂に入らねえだべ。(心やさしいガイドさん!) ![]() 写真【中】は、“ミズ”(ウワバミソウ イラクサ科)くせが無くて シャリシャリとしておいしい山菜。 写真【下】暗門大橋の近くで見たサワグルミ。美しい花を垂らしていた。 サワグルミ(Pterocarya rhoifolia クルミ科) ▲
by tamayam2
| 2008-07-11 13:27
| たび
急に暑くなり、昨夜、はじめてクーラーをつけました。
そろそろ蚊の対策をかんがえなければなりません。 ムシは、どんなものでも好きなのですが、忍びやかに近づいて 来る蚊だけは敬遠したいです。 ![]() 埼玉県 安行(あんぎょう)にある花と緑の振興センターへ 行ってきました。洞爺湖サミットのせいでしょうか、どこでも 警官の姿が目につき、交通が渋滞していました。悪いことを しているわけではないのに、警官の姿を見れば、はっとして、 身を隠したくなるtamayam2は、異常な人物なのでしょうかね。 安行は、植木の町として有名です。ネグンドカエデは、別名 トネリコバノカエデ。目が洗われるような美しい斑入りでした。 (写真上) イロハカエデの葉にとまったムシ。オトシブミの仲間かもしれません。 ![]() ![]() ヤマボウシ (ミズキ科) の花を 食する シロテン ハナムグリ (?) コガネムシ 科の昆虫 です。 このセンターのHPに クイズに答えてクワガタムシをゲットしよう という子供向けの呼びかけがありました。えっ?(目を疑う) クワガタは、生きている虫ですね、玩具じゃないでしょう。 もし、野生昆虫保護団体といった団体があれば、クレームもの ですね。それとも、プラスティックでできた本物そっくりの玩具 なのでしょうかね。 ![]() ドクダミのそばにヤマトシジミ蝶が! 夏は、暑いから好きになれませんが、たくさんのムシに会える のは、うれしい。 ▲
by tamayam2
| 2008-07-05 11:15
| 日々のできごと
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