【567】クリスマス・ツリー

1987年(昭和62年)、今から25年ほど前に、私は、ある学校の
日本語クラスで教えていました。
そのクラスには、成人の外国人学生が10人ばかりいたのですが、
台湾人、中国人、ネパール人がいました。
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台湾人のAさんと、中国人のBさんは、けっしてそばに座ろうともせず、互いに
打ちとけませんでした。台湾人と中国人の間には、政治的に複雑な背景があると
知ったのはそのころでした。同じ中国本土から来た、BさんとCさんもよそよそしく、
彼らは、北の天津と南の広州の出身で、言葉も考え方も相当違うということを
知り、一くくりに中国人と考えてはいけないのだと知りました。

また、ネパール人のDさんとEさんなら、お互いに協力し合って勉強するだろうと
考えましたが、彼らも端と端に分かれて座り、全く口もきかないのでした。
後から聞いて見ますと、カーストが違うので、一つのテーブルで食事をすることすら
できない身分だということでした。

こうして駆け出しの日本語教師は、日本語教育の背景にある複雑な国際事情を、
こういう体験を通して学ぶことになるのです。

今回の台湾訪問は、当時のクラスの中国人のBさん夫妻と台湾人Aさんを訪ねる旅で
ありました。お二人は、25年の間ずっと級友として友情を育ててきました。

中国人のBさんが本国が認めない台湾に旅行するのには、VISAが必要ですが、
VISAの取得費が安くなり、簡単になったので、やっと台湾訪問が可能になったと
言っておりました。

Aさん、Bさん、私の三人を繋いでいたのは、毎年のクリスマス・カードや年賀状という
ごくごく旧式の情報交換手段でしたが、ほそぼそと25年間続いていたとは、驚くべきことです。

私は年老い、当時若かった彼らは、50代です。それでも、
元気で楽しく語れるというのは何という幸いなことでしょう。
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今夜はクリスマス・イヴ。
どうか、みな様にとって聖なるよい晩でありますように。
台北の駅舎、台北車站に飾ってあった絢爛豪華なクリスマス・ツリーをお目に掛けます。
25年前の台湾人の学生たちは、みなが口をそろえて、
「日本のすばらしいものは、地下鉄と新幹線! 日本の交通は便利です。」

今は、台湾にも新幹線が通っており、台北から南の高雄まで96分で結んでいるということです。
また、台北市内には、最新式地下鉄が走っており、移動が便利になりました。
私の好きな市立台北動物園にも地下鉄で行くことができます。
さて、これは、動物園で見たヤツデの葉に似た小木です。
よ~く、ごらんください。
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葉についているものは、なんと、生きたチョウです。
オオゴマダラというチョウの中でも最も大きく、緩慢に飛ぶマダラチョウの仲間です。
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チョウは、じっとしていてほとんど動きません。
このヤツデの花のような白い花粉がよほど気に入っていると見えて、
葉脈は、白い粉のような花粉にまみれているのでした。

これは、まさしくチョウのクリスマス・ツリーですね。
Merry Christmas!

by tamayam2 | 2012-12-24 09:12
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