コスモスで できた丘

うす曇りの朝。明日から天気がくずれそう・・・という情報。
今日こそ出かけなくてはと決意して、西立川にある昭和記念公園へ。
昼ごろには、陽も差してきて、おだやかな秋の日になった。

じつは、東京に帰ってきて、東京での定点観測の場所をさがそうと、
あちこちの植物園や公園に足をはこんでいたのですが・・・
なんとなく、心にビビっとくる場所が見つからず、
東京にいるのに、自分が異邦人になったような、心もとなさを感じており
ました。
いわゆる、「逆カルチャー・ショック」というヤツなのでしょうね。
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関西弁のFさんだったら、「アンタ、ごちゃごちゃ言わんと、
皆が行く人気のトコへ、出かけたらよろし。」とか言うだろうな。
そう思って、いま見ごろだというコスモスを見に出かけたのです。

いゃ~あ、驚いたのなんのって。
わたしゃ、コスモスが、花壇一面にどこまでも広がっている風景を
想像していましたが、確かにそういうのも、アリ。しかし、なんと
言っても見所は、丘陵全体がコスモスで埋め尽くされているダイナミック
な光景。コスモスの丘といった生やさしいものではなく、
「コスモスでできた丘」。
その場に居合わせた人は、だれでも、お、お、お・・・・と言って言葉を失う。

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日本人って、凝ると、ここまでやるんですね。
「物づくり大国、ニッポン」という言葉がチラと脳裏をかすめましたよ。

春から土を耕し、種をまいて、秋のちょうどこの時期に丘を埋め尽くす
ように設計し、準備してきたそうです。半年ごしの大掛かりなプロジェクト
だと言えます。

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いま、心惹かれている日本のチョウにも出会え、十分に満足しました。

写真:上のチョウは、ツマグロヒョウモンの オス(?)
    下は、ミントの花の蜜を吸うアオスジアゲハ
# by tamayam2 | 2007-10-19 03:33 | 日々のできごと | Comments(0)

R.L.スティーブンソンの 旧家

9月に、二度ロンドンに行き、あちこち歩きまわった。
ラッセル地区に宿を取ったが、そこにチャールズ・ディッケンズの住居
跡があると、友人のMさんが言うので、その住所を訪ねて行った。
歴史的建造物には、青い陶製の楕円形のプレートがはめ込んである。
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その後、ハムステッド地区では、キーツの家や、ロバート・ルーイス・
スティーブンソンの旧家を、チェルシー地区では、オスカー・ワイルドや
カーライルの家を、ブルーのプレートで確認することになった。

R.L. スティーブンソン(1850-1894)のプレートを偶然見つけたのは、
夕暮れ時の薄暗くなりかけた住宅街であったが、
同行のYさんが、突然美しい声で Bed In Summer という
彼の英詩の一部を諳んじ始めた。

うかがえば、学生時代のご専攻は英文学とか。英詩を暗誦することなど、
昔の学生はよくしたのだろう。
夕暮れの丘に彼女の朗々とした英詩がひびき、その町の風景とともに
忘れられない印象が刻まれた。

英国の夏(5月ごろから9月末ごろまで)は太陽がまぶしく、夜の9時
ごろまで明るい。それなのに、「子供は、7時にベッドに入るもの」と
決められている。口答えできず、ベッドに追いやられたものの、納得が
いかない子供の心情を綴った詩。


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・・・・もっと、もっと外で
   遊びたいのに、
   大人たちはそぞろ歩きして
   いるのに、
   どうしてボクはベッドに
   行かなければならないの・・・。





英詩のお約束どおり、night, light や、day, wayと・・・末尾は
韻を踏んでいる。
『宝島』の作家は、ベッドの中で、冒険旅行などを夢見ながら長い夏の
夜を過ごしたのではないだろうか。
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日本でも、歌碑などをみて、すらすらと短歌が出てくる人たちがいる。
昔に習い覚えたことが、無駄にならなかった人たちだ。それが
若いころとは違い、キザな感じではなく、素敵だなあと思う。
そういう人たちと旅行をしていると、2割増ほどトクをしたような気がする。
(嗚呼、俗物的な表現で、彼らには聞かせられないが・・・。)

ロンドンのチェルシー地区というと、東京の田園調布。ここの一隅にある
Chelsea Physic Gardenという薬用植物園は、17世紀から続く
由緒ある植物園。(1673年 開園とは、驚き!)
水曜と日曜の午後しか公開されていないが、その日にロンドンに居合わせ
れば、ぜひ立ち寄ってみたいところ。
英国の、古きよき時代の博物学の伝統が感じられる。

写真:チェルシー地区の住宅で見かけたアサガオ
# by tamayam2 | 2007-10-16 00:41 | たび | Comments(0)

オトギリソウ

トウワタの毒について知った「毒草を食べてみた」という本を見ていると、
あら、きれい! あら、素敵!と素朴に感じていた植物の別の顔が
見えてきて、自然界の仕組みに驚異を感じる。

毒食わば、皿まで・・・またか、と思われるかもしれないが、私にとって、
最近の発見だったオトギリソウ(Hypericum androsaemumオトギリソウ科
オトギリソウ属)について書いておきたい。
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花も実も、その紅葉した葉でさえ、美しく、西洋では比較的ありふれた植物。

この植物の毒性は、紫外線によって引き起こされるということで、
牧畜業のさかんなところでは、長年、動物やヒトの皮膚ガンのような被害
に悩まされてきたそうだ。時には、致命的被害をもたらすこともある。

日本では、弟切草という漢字が当てられ、江戸時代から兄弟の確執のストー
リーがその背後にあるらしい。

葉をすかして見ると黒点が見えるが、それは、兄が弟を殺したときの血の
しぶきであると・・・。(そう考えてみると、怖いなあ。)
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家の鼠額大の庭に、ビヨウヤナギ(Hyporicum chinense 美容柳、または、
未央柳)という、これと親戚筋の、日本ではごくありふれた庭木が植わっている。
同じような黄色い花を咲かせている。毒草であるかどうかは、どこにも明記され
ていない。

書けば、庭に植える人がいなくなるからかもしれないが、剪定のときには
注意しなくちゃ。

この写真は、ワシントンDCの国立樹木園(National Arboretum)で、
9月に撮った。

DCの植物園では最大で、植物好きには、見逃せない場所である。
# by tamayam2 | 2007-10-14 10:13 | たび | Comments(0)

トウワタ

先週、天気のよい日に、都内の植物園を二、三のぞいてみた。
秋の日は、つるべ落とし。こんな日がいつまで続くのやら・・・。

数週間前の主役は、紅や白のヒガンバナ。目立たない引き立て役は、
ミズヒキや、シモバシラ、イヌショウマ。やっぱりこういう日本的な
植物がものめずらしく感じられた。
ヤブミョウガも、青い実を光らせて、しっかり存在を主張していた。
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日本であまり見かけないもので、北米ではありふれた野草は、
トウワタ(ガガイモ科 トウワタ属 Milkweed)。

赤とオレンジ色の一見、か弱そうな秋の野草なのだが、
それが、どうして、どうして、かなりの有毒植物らしい。


c0128628_7102551.jpg植松 黎「毒草を食べてみた」
(文春文庫099)によると、
家畜などがこの草を食べて
命を落とすこともあるという。





アメリカの国蝶のオオカバマダラ(Monarch)の食草なので、北米では、
いたるところに生えている。

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綿が飛び出て、キラキラ光っていて、美しいと思い、好もしく思って
カメラにおさめてきたが。
(人は、おっとモトイ、花は、)見かけにはよらないものね。

タンポポのように綿毛が飛んで、あちこちに根付く強い野草。
日本にも自生しているのだろうか。
# by tamayam2 | 2007-10-13 14:43 | たび | Comments(0)

ホッパーの回顧展 ワシントンDC

ワシントンDCのスミソニアン博物館群には属していないが、ナショナル・ギャラリー
西館は、見ごたえのある作品の宝庫である。前にも観たことがあるが、フェルメール
の4点や、ダ・ヴィンチの油絵など、名品ぞろいで、その上無料。
       フェルメールを観る フェルメールを追い求めて
居心地のよいパティオのような空間が用意されていて、歩きつかれたら休める。
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今回は、地下通路でつながっている東館に行ってみた。
中二階のような会場で、ちょうどEdward Hopper( 1882-1967)の回顧展をやっていた。

朝11時前だったが、ガラス張りの会場に朝日が差し込んで、会場へのアプローチと
しては、すばらしい演出効果だ。

ホッパーは、20世紀を代表するアメリカの画家で、部分的にはあちこちで観たこと
があったが、彼の初期から晩年の作品まで、ずうっと通して観たのは初めて。
ありふれた都市の風景が、彼の手にかかると、意味ありげなドラマになる。
孤独な女性がポツンと場末の食堂に座っていたり、寝静まった街角の薬屋のショー
ウィンドーに灯りが灯っていたり、だれでも、どこかで見たような風景なのだが、
孤独な都会人の息づかいが感じられる。

会場内で15分ぐらいの映画もやっていたので、彼の画家としての生涯をたどること
ができた。


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展覧会場の
入口にすえられた
大きなパネルは、
Nighthauwks
という代表作。







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その横の、吹き抜け天井には、カルダー(A. Calder 1898-1976)の軽やかなモビール
が音も無く、静かに廻っていた。

ワシントンに住んでいる人は、忙しい政府関係者が多いのだろうが、ちょっとのヒマ
さえあれば、こういう展覧会に立ち寄って、気持ちのよい空間で、くつろぐことが
ができて、うらやましいなあと思った。説明のイヤーフォンを5ドルで借りた以外に
お金がかからないし、座り心地のよいベンチでパンフレットを見たりして贅沢な
午前中を過ごした。
# by tamayam2 | 2007-10-10 07:22 | たび | Comments(0)