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【590】コミヤマカタバミ

春先に、野山で出会いたい野草がいくつかある。コミヤマカタバミもその一つ。
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信州の山野でも見たことがあるが、この花は、曇っていたり、雨天だったり
すると花が閉じている。ちょっと朝日が差し込んで来るようなときがいいのだ。
初めてみたのは、ベルリンのDahrem植物園で。ヨーロッパでは、割によく見る花
だったのかもしれない。日本でも葉は見えるのだが、なかなか開花したところに出会え
なかった。
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27日、八王子市の山中で、かわいい花に再会することができてうれしかった。
白い花弁に薄紫色の筋が見える。雄蕊が丸い冠のよう。
コミヤマカタバミ【小深山傍食 カタバミ科 Oxalis acetosella】
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やや丸っこい花のものと、花弁が細長い、サクラの花形のもの2種類が
あるようだ。右に見える肝臓型の葉は、ミスミ草の葉です。
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もう一つ、見たいと思っていたのは、セリバオウレンの花。
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セリバオウレン【芹葉黄連 キンポウゲ科 Coptis japonica var. disseecta】
いつも花後の種の状態で見ることが多い。だから、3月中にぜひ見て
おきたいと思った。多くは、既に種を作っていたが、まだ種になっていない花が
一群れ残っていて見ることができた。雄花、雌花があって、なかなか複雑な形を
している。人があまり通らない湿った土地でこの花に出会えてうれしかった。
下は、セリバオウレンの種。
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こういう地味な花は、花期も短くなかなか人の目に留まらない。
日本固有の花だから、大事にしなくては。

by tamayam2 | 2013-03-29 18:23 | 日々のできごと | Comments(2)

【589】桜満開の卒業式

3月26日、人に会う用事があって、四谷に出かけました。
うすら寒い日でしたが、駅を出ると、正面のイグナチオ教会わきの
土手に満開のサクラが! 
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あらあら・・・と突然現れたサクラに驚いていると、駅から、
和服姿のお嬢さんたちがどんどんどんどん出てくるではありませんか!
え? こりゃ、何だ、何だっ??
全く予期せぬことでしたが、その日は、上智大学の卒業式だったのです。
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まぁ!この頃の卒業式の晴れ着は、袴姿、そして、編み上げの革靴。
まるで、NHK大河ドラマ『八重の桜』の主人公、新島八重さんみたい。
大正時代の女子学生のようですね。新島襄は八重のことを、“ハンサム・ウーマン”と
呼んだようですが、きっと進取の気性に富む、聡明な女性だったのでしょう。
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美しく着飾った卒業生たちの顔は、自信に満ちて輝いていました。
どの人も今人生の晴れ晴れしい門口に立っているのでしょう。
若い女性っていいなぁ~と心から美しいと思いました。

土手には、桜の古木が伸びた枝を支柱に支えられながら、精一杯花を咲かせています。
私が大学生のころも、この木があったはずです。こちらは、相当なおじいさんでしょう。
卒業してウン十年もたちましたが、なんだか昔のことを思い出して懐かしく
土手を歩きました。
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このレンガ造りの校舎は、私が学生だったときからある一番古い建物です。
本館と呼ばれていましたが・・・・今の学生たちも何やら気ぜわしそうに
メインストリートを闊歩していました。

by tamayam2 | 2013-03-28 08:51 | 日々のできごと | Comments(8)

【588】春の使者、春蘭 

東京にもサクラの開花宣言があったとか、庭に出るのが楽しみな季節に
になった。
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ジンチョウゲの香気があまりすばらしいので、一枝切って背の低いガラス容器に
さした。
クリスマス・ローズはそろそろ終いごろだ。
日本ではクリスマス・ローズだが、ドイツではLenten Rose. 今は、キリスト教の
暦で言う、Lent(受難節)に咲くバラという意味で。確かに、受難節のころ、
この花が盛りになるように思う。クリスマスのころは、まだ咲いていませんね。

ジンチョウゲは、私の記憶の中では、いつも卒業式の思い出と共にある。
東洋的なこの花の香気は、とても神秘的。
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庭の春蘭の茂みの中に数本花が見つかったので、それも切った。
春蘭は、目立たない花なので、気づかないうちに花が終ってしまうことがある。
毎年たくさん咲くということはなく、今年のようなのは少ない年、多いときには、
うぁ~と何十本も咲く。
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上は、先月の世界らん展で見た春蘭の一種。きっと珍しいものなのだろう。
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外出先の小道で見たボケ(バラ科)。名前でちょっと損をしているかなぁ~(笑)
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ご近所で見たミモザの樹。ミモザ、またの名をフサアカシア(マメ科)。
レモン・イエローのこの黄色が、樹いっぱいに咲き誇っているのを見ると
心がウキウキしてくる。西洋人にとって、満開のミモザは、日本人のサクラに
匹敵するような“春の使者”なのだろう。

by tamayam2 | 2013-03-16 22:32 | 日々のできごと | Comments(7)

【587】エル・グレコ展にて

先週8日、ちょっと時間があったので、上野で開かれているエル・グレコ展
行ってきた。昨年の3月、スペイン・トレドを訪問、迷路のようなトレドの
町を歩いて、大聖堂でグレコの作品をいくつか見た。
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お名前のグレコとは、ギリシャ人のこと。El という冠詞がついて、
ギリシャ人の男というほどの意味だろうか。生涯の大半をスペイン、トレドで
過ごしたのに、「僕の出自はギリシャですよ」と明らかにしておきたかったのだろう。

都美術館には、すばらしい作品が51点も世界中から集められている。
エル・グレコ展 HPはここ
トレドに行っても、見られる作品は限られるのに、日本の展覧会では、
その画家の作品を束ねて、見せていただけるので、ありがたい。
私の行った日は、さほど混雑していなかったので、ゆっくり見られた。
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無原罪のお宿りは、3メートルを越す大作で、おそらくこの展覧会の華の一つ。
中央に描かれた天使の羽がデフォルメされて、魚眼レンズで見るような、
立体的効果があり、今にも羽が動きそうなのだ。見上げる聖母マリアの澄んだ瞳、
天井から降り注ぐ光、地上に咲く小花やトレドの町並み・・・
一つの画面に天井、中空、地上の様々な風景が描かれており、万華鏡を見るような
華やかさなのだ。
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トレドのサント・トメ教会にある大きな作品、オルガス伯爵の埋葬は、
東京展には、来ていない。(その作品を貸し出したら、トレドへ出かけた
観光客ががっかりして怒りだすかもしれない。)


この作品も一つの画面に、死んだオルガス伯爵と、上のほうには、赤子の姿
となって天使に抱かれ、昇天するオルガス伯爵の姿が描かれている。時空を
越えた不思議な光景と、異邦人の画家に親しい温情をかけてくれたトレドの友人たち
がずらりと並んでいる。人の群れの中にエル・グレコ自身の顔も見える。
宗教画なのに、わりに人間的な感じがする作品だ。

エル・グレコは16世紀の画家なのに、なぜか、漫画や劇画のようなモダンな
感じがして面白いと思った。
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帰りに、動物園の中を通って、不忍池方面へ出た。
両生類館のところで見た東京ダルマガエル。そう言えば、啓蟄のころですね。

マダガスカル館のそばには、ワオキツネザルの一群がこちらをじっと見ていた。
(人間は気づいていないけれど、動物たちは、人をじっと観察しているものです。)

ワオは、輪尾と書く。しっぽにシマシマの模様があるからネ。(笑)

by tamayam2 | 2013-03-15 15:26 | 日々のできごと | Comments(4)

【586】世界地図を見ながら サバとパース

先月、つくば実験植物園で、めずらしい食虫植物を見た。
湿原に生えるらしく、じめじめした鉢に植えられていた。
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フクロユキノシタ(袋雪の下)と書いてあったが、ユキノシタとは、
全く無縁の一科一属一種の植物。フクロユキノシタ科。
学名はCephalotus follicularis
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どこに自生しているかというとオーストラリア西部のみ、ということだ。
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オーストラリア西部の町と言えば、パース(Perth)とその北に拡がる高原に
違いない。シドニーやメルボルンの大都会と違って大陸の西端なので、
訪れる人も少ない。私はシドニー(東海岸)から、インディアン・パシフィックラインという 豪華列車で
終点のパース(西海岸)に丸三日かかって到着した。
1998年ごろの話。
その当時、植物にそれほど関心がなかったのだけれども、何だか怪しい形の
虫のような爬虫類のような植物が多く、不思議なところだと感じた。
もう一度行く機会があれば、ぜひ植物探索の旅にしたいと思う。
生まれて初めて南半球の、インド洋を見てお~と感動した。

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この植物の絵ハガキは、マレーシアのサバ(Sabah)州、コタキナバルに行ったとき(2001年)、
珍しい植物だなぁと思って買った。マレーシアは、インドネシアのボルネオ
島の北半分に飛び地のような領土があって、首都クアラルンプールのあるマレー半島
とは全然別の景観なのだ。
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これも、今から思えは、植物の宝庫で、ラフレシアと
いう巨大な食虫植物が生えている森がある場所であった。当時は、植物にさほど
関心がなかったので、そういう説明を聞いてもふぅ~んと思うばかりだった。
惜しいことをしたわ・・・ね。
このように、関心が無ければ、どんなすばらしい場所に行っても、
ふぅ~んと思うばかりで、しょうもないものですね。

この植物は、Nepenthes  veichii という食虫植物だそうだが、消憂薬とも
書いてあったので、何か元気になる薬効があるのかしらん。ボルネオ、サバに特有の
植物のようだ。
2004年に起こったスマトラ沖大地震は、サバの西、スマトラ島より西の一帯。
この辺りの細長い半島、島は(フリッピン、台湾、日本も)ずっと昔は、
ユーラシア大陸に続いていたのであろう。地震の多発地帯でもありますね。

今日、東日本大震災の2年目に当たる日、地図を見ながらいろいろなことを
考えました。
サバとパースは東経115 度あたりの線上にあり、全然違う島なのに、
植相にどこか共通点があるのかもしれません。

by tamayam2 | 2013-03-11 21:04 | たび | Comments(7)

【585 】わが町

ここ二、三日、急に暖かくなりました。
みな様のところは、いかがですか。何だか、固く縮こまっていた体が活動したがって
いるようです。

Yamyam町は、東京23区内にあって、フツ―の勤労者が住む、ごくごく
フツ―の町なのですが、駅から住宅街に至る商店街が少しずつ変化していることに
気づきます。
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シャッターを閉ざしたままの店があります。しばらくすると
新しいオーナーにとって代わって、新らたな業種の店ができるのですが、
それが、ことごとく、私の生活とあまり関係のない店なのです。
ということは、私のような居住者はこの町の住民のマジョリティから外れてきた
ということかもしれません。
たとえば、100円ショップ、ネイルサロンや、古着屋さん・・・
そういう店を利用しないもんネ。
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その他に、針・灸・マッサージなどのサロン(?)、整形外科や整骨院・・・
駅から家までの道にそういう店とか医療施設が、いくつできたでしょうか。
この町に骨折、骨のトラブルを抱えている人がそんなにいるのでしょうか・・・。
日焼けサロン、マッサージ、リラクスゼーションなどの店を加えると更に多くなる。
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そして、変化したことと言えば、昔ながらの店が減ってしまったこと。
たとえば、豆腐屋、八百屋、魚屋、手芸屋、文房具屋・・・だから、ちょっと
こだわりのある文房具を買うにも、電車に乗ってデパートまで行かなければならない。
デパートにも商品のアドヴァイスができるプロが少なくなってしまった。
専門知識のないアルバイトの店員のような人ばかりで、何を聞いても、
鳩が豆鉄砲喰らったような顔をするばかりだ。
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○○という商品は、無いでしょうか? あ、そういうのなら、「百均」で
売っているんじゃないですか? え? 
「百均」って?
100円ショップまで、短縮形にされちゃう! 

その100円ショップに出かけて見れば、確かに似たようなものが100円で
売られている。これじゃ、プロは育たないわけだ。

老舗のようなプロの売り手が商品を管理している店が閉じられて、その跡地にできるのは、
100ショップのような、根なし草の店ばかり・・・そうやって街から
モノを大事に使うというような生き方がだんだん遠ざかってしまう、
そんな気がするのです。

写真は、庭に来るメジロ。今週、箱根で見たシダとサルノコシカケ。

by tamayam2 | 2013-03-08 12:28 | 日々のできごと | Comments(10)

【584】小田原にて 辻村伊助のこと

3月に入り、三寒四温の日々が続いています。北国からは、雪や雪崩の被害が
伝えられています。今年の冬は、殊のほか厳しかったようですね。
3月5日、春めいて気持ちよく晴れた一日、小田原へ行ってきました。
小田原の駅前で白秋のこんな言葉を知りました。
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小田原は、海もあり、山もありいいところなのに、なぜか人は、みな小田原を
通過して、熱海や箱根へ行ってしまう・・・。白秋は、小田原に住み、
私たちがよく知っているたくさんの童謡の作詞をしたということだ。たとえば、
「この道」、「からたちの花」、「ペチカ」など・・・白秋の作品1200篇の半数は、
小田原で生み出された。その白秋は、関東大震災(1923年 大正12年)で
自宅が半壊し、東京への移転を余儀なくされた。
北原白秋(1885年~1942年)
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来週は、東日本大震災の3周年を迎えるのですね。
関東大震災からは、今年は90年目です。

 この日、小田原に立ち寄ったのは、人伝手に聞いた「辻村植物園」というのを
訪ねてみたいと思ったからです。今は、小田原市が管理している自然公園ですが、
明治40年、辻村という素封家の六代目が、ここに広大な農園を開き、園芸用の
農場を経営したということです。辻村常助氏と弟の伊助氏です。
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 辻村伊助氏は、東大の農芸化学を卒業後、スイスで高山植物の研究をした。
アルピニストとしても活躍、スイス人女性と結婚し、帰国後、箱根湯本に本格的な
高山植物園を造園した。しかし、関東大震災で自宅の裏山が崩壊、家族全員が
土砂に埋もれて死亡。辻村伊助(1886年~1923年) 
登山に関するいくつかの著作もあり、
『スウィス』(1922年)、『ハイランド』(1936年)などが平凡社ライブラリーに
収められている。

私が訪れた辻村植物園は、広大な丘に白梅が真っ盛り・・・ちょうど良い日に
当たっていたが、訪れる人もまばらでもったいないようだった。
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小高い丘からは、小田原市内と青い海が見渡せた。

道路をはさんだもう一つの農園には、見事な竹林や、外国の珍しい樹木園ができていた。
ゴッホが愛した糸杉やオーストラリアに多いユーカリの巨木、イチョウの大木なども。
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西洋でたくさんの植物園を見た伊助氏が、どんな構想をもって日本で個人の植物園を
経営しようと考えたのか・・・歴史上の人物の果たせぬ夢を探りながら梅林の中を
歩き回った。

by tamayam2 | 2013-03-06 13:45 | たび | Comments(11)