長良川の夕べ

ドイツにいたころ、ドレスデンで偶然日本人のご夫婦と
知り合い、ドナウ川の話になった。私がドナウ川の
川下りは、きっとお気に召すと思いますよ、と提案すると、
若いご夫人が、言下に言葉をさえぎって、
「いいえ、長良川の水の美しさは、こんなもんじゃござい
ません!」とおっしゃった。
涼風の吹くドナウ川沿いのレストランでワインを飲みながら、
岐阜のお国自慢をたっぷりうかがったその日から、いつか
機会があれば、長良川を見てみたいと思っていた。
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その時知り合ったご夫婦ではないが、ちょっとしたご縁が
あった方からお招きを受け、長良川で花火と鵜飼の夕べ
を楽しむことになった。
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花火も豪勢だったし、鵜飼船に乗る経験も楽しかった。
養殖でない、天然の鮎もいただいた。地方の素封家の
心のこもったおもてなしの数々に、都会のちまちまと
した接待と比べて、なんとスケールが大きいのかと感じ
入った。
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そのご夫妻は、二男一女のお子もちでみなさん結婚なさって
いる。花火の時には、近くに住む子供たちが両親の家に
集い、手作りのおかずを運び込み、日没前にみんなで歩いて
河原に向かった。幼い子供たちの手を引いて、おしゃべりし
ながら歩いた。
河原には、すでに何万人という人々が集まって、
それぞれの桟敷で宴会が始まっていた。じつに日本的な
いい光景だった。

赤ん坊から、老年まで一家族がいっしょの桟敷に坐って
お弁当を食べながら、空高く打ち上げられる花火に歓声を
上げる。客人をもてなすのに、家族全員を呼び集め、
一同うちそろって食事できる贅沢は、今やだれにもできる
ことではないとうらやましく感じた。

おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな  芭蕉
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by tamayam2 | 2008-07-31 08:52 | たび | Comments(0)
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