わがYamyam町と隣接する阿佐ヶ谷の一軒の家が、いまBlogで話題に
なっている。 宮崎 駿氏の『トトロの住む家』という写真画集でも取り上げられて いる家だそうだ。 daikatotiさんは、阿佐ヶ谷には、いらしたことはないが、あこがれの家として イメージをふくらませ、きれいな水彩画で表現しておられる。 わたしは、最近ドイツから帰ってきたばかりだが、子供のころからこの界隈に 住んでいるものだから、この家のことはよく知っている。 現在も、この家の前を通って、あるところに定期的に通っている。 昭和の初期に建てられた洋館で、低い垣根にいつもバラの蔓がからんでいた。 赤い屋根、白いペンキの窓枠に白いレースのカーテン、お庭には、バラや小花が 咲きこぼれ、中からピアノの練習曲なんかがポロポロと響いていた。 “結婚したら、こんなお家に住むんだ”と子ども心に思っていた。 現在、この家は売却され、近々取り壊されるという。そのあとには、横文字の、 ちょっと見には、洒落たアパート、もとい、マンションが建つのであろう。 なにしろ、Yamyam町の辺りにも、一戸建ての家は少ないし、まして、 平屋の家は皆無である。 若きジャズピアニスト、komamanさんは、近藤邸を守れ という記事を書いている。 アニメ作家の大地さんは、昔、阿佐ヶ谷に住んでいたころ、散歩道で出会った この家の印象を 「オレンジの屋根の家」と題して書いている。 お若い方々がこんなレトロの家に、住みたいとか、あこがれるとかおっしゃるのを 聞くと、世の中、捨てたものではないなあ、と少し安堵する。しかし、近代的な住まい と違って、手入れは大変だろうなあとも考える。今どき、竹のまがきをシュロの縄で 仕上げる職人さんがこの近くで見つかるのかしら。 アルミサッシュではない木の窓枠には、定期的なペンキの塗り替えが必要だろうし なあ。鬱蒼と茂った大木の剪定も素人には負えないだろうなあ・・・。 西洋では、100年以上も古い家を、若いカップルが買って、自分たちの手で、補修 したり、改装したりして、年がら年じゅう工事中のような家に住んでいる姿をよく 目にする。 若いうちは体力があるんだから、ペンキ塗りでも、壁紙貼りでもなんでもやって しまうわね。 少しずつ手を入れて自分の暮らしにふさわしい住まいを作るのは、じつは、 とっても高尚で、楽しい趣味だけれども、日本では、build and scrap(壊しちゃ、 建て、建てちゃ、壊し・・・)で、家の寿命が短い。 この家でも、おそらく築5、60年ぐらいではないか。 やっぱり、古い家を維持していくには、大変な意志力と、体力、そして、財力も 必要だろうなあと考える。 近藤家は、昭和の、庶民の良質な暮らしぶりを、垣根ごしに示し続けてこられた ように思う。長い間、ありがとうございました。
by tamayam2
| 2007-09-02 18:52
| 日々のできごと
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