【745】水辺の植物…フランスの場合

フランスの地方都市に住むEさんの所にお邪魔して、
彼女の大事な生活の場、マレ(Marais 沼地)を何度か
訪れ、植物群の豊かなことに幻惑された。
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波止場の近くに綿毛を出して咲いているアカバナ(アカバナ科)
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お彼岸のころに咲くエゾミソハギ(ミソハギ科)も風に揺れている。
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水辺にただようコウホネ(コウホネ科)。
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午後2時ごろ、未の刻に咲くというヒツジグサ(スイレン科)
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面白い形の葉のオモダカ(オモダカ科)
Eさんが静かに漕いでくれる小舟に乗って、私はワクワクしながら
写真を撮った。
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マレの大事な水路には、アシが茂っている場所もあるが、ひときわ
通行を妨げるようにはびこっている水草に気がついた。
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あまり見かけない水草なので、Eさんに問うと、ジューシー(Jussie)と
呼ばれる外来植物というお話だった。だれかが、南米産のこの
水草を植えたところ、この一帯に広がり、今では侵略的外来植物
として、迷惑がられているという。
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日本でこれに似ている植物は、ミズキンバイ(Ludwigia stipulacea
アカバナ科)と言い、こちらは、侵略的どころか、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)
に指定されているとか、何だかわけがわからなくなってしまった!
多すぎれば侵略的、少なすぎれば、絶滅危惧種!!??

私の見るところ、水草一般に、ときに侵略的になる可能性があり、
もし水面一面を覆うようになれば、水面下に生きる魚、貝などの
水生生物は死滅する。よく金魚屋で売っているホテイアオイ
ボタンウキクサオオカナダモ…なども、水槽の中で、涼しげに
生えている量の場合は、好もしいが、調整池などで、始末に困る事態に
まで繁茂し、除去作業が必要になるとなれば、深刻だ。
上にあげたエゾミソハギも、侵略的外来種ワースト100(IUCN)に
入っており、風媒花のアカバナだって、いつ悪者扱いにされるか
わかったものではない。
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ただ、Eさんの耕しておられる彼女の領地にたどり着くためには、
小舟が欠かすことのできない交通手段であり、その通行を妨げる
この憎っくき“ジューシー”を何とかしなければならないのだが、
この水草の排除には、何人かの男手が必要。何人かで共同作業
を行わないと、とても手に負えないほどの量なのだ!

そして、一時的には、除去できても、また春になれば、
この辺りの水路を覆うのは、火を見るより明らかで、
この作業は、イタチごっこの様相なのだ。

外国から新奇な生物を持ち込んではならない、という原則
を犯すとこういうことになる。しかし、日本もこういう問題に
関して言えば、非常に無頓着で、無教養な国なのだ!

花屋にあふれかえるたくさんの外国の花々、今まで日本の風土に
存在しなかった植物を安易に導入することによって、どんなことが
起こるのか・・・フランスのジューシーは、まだ日本に入ってきて
いないようだが、こんな事態がいろいろなところで密かに起こり
つつあるに違いない。

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by tamayam2 | 2015-09-14 13:46 | たび | Comments(10)
Commented by nenemu8921 at 2015-09-15 07:54
ほう。面白いね。
アカバナ、ミソギハギ、コウホネ、ヒツジグサ、日本の沼地で、見かける花ばかりです。
ミズキンバイに似た花が侵略的外来植物とはねえ!!
水草に限らず、外来植物はこうした危険性を持っているのでしょうが。昆虫などもそうですよ。








Commented by 通りすがり at 2015-09-15 11:04 x
アカバナは綺麗で好きな花の1つですが、こんなにまとまって生えてないし、花色もここまで鮮やかなものはあまり見られないので、良い目の保養になりました。
植生を見ると水環境の良さが分かりますが、やっぱり外来種問題はあるんですね。
身近で以前問題になったのはホテイアオイとオオカナダモですが、今は問題にされてないだけでクレソンとオオフサモが勢力争いしてます。
まあ、クレソンは食用や馬の整腸剤として利用されてるんで、あまり駆除されないんでしょうが。
水場の外来植物は多い尽くす程に繁殖するものが多くて、駆除も大変なんですよね。
Commented at 2015-09-15 11:22
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2015-09-15 20:32
♡ nenemuさん、
のどかに旅を楽しんでおればよいのに・・・つい余計なことまで
考えちゃうので、私は困った人です。日本の水辺の町、たとえば、
水郷とか九州の柳川とか・・・考えると、沼地に畑を作って市民の
憩いの場にしている・・・こういう話に大変関心を持ちました。
ここも観光の場として開発しようという意見もあるようです。
Privateな場を見られたくない人もいるでしょうし。。。
日本の水辺でよく見る植物がここでは、うんと大きく育って
いて、それを見るのは気持ちよかったです。
Commented by tamayam2 at 2015-09-15 20:39
♡ 通りすがりのおじさま、
そう、確かにここの植生をみるとみんな日本のものより、大きく
健康的に育っていますね!Eさんの農作物も、表面の土は粘土質で
からからに見えますが、何しろ浮島のようなものですから、深い
ところまで伸びた根が水分を吸い上げるのでしょうか、非常に
よく育っているのですよ。日本のキュウリもカボチャも、枝豆さえ!!
Eさんによると冬の間中、土に有機肥料を施して土を肥やすそうです。
だから、水草だって良く育つわけですよね!
Commented by tamayam2 at 2015-09-15 20:55
♡  namiheiii先生、
美しい写真とともに、短歌を載せられて・・・短いメッセージですが、
推敲された人の気持ちをうかがい知るのは楽しいことです。
フランスの地方都市を訪問する機会があって本当にしあわせでした。
しかも、こうした浮島の農耕生活!?お話には聞いていましたが、
実際に見てみると一歩先のことをあれこれ考えさせられます。
フランスの方は、二、三のEさんの友人とお話しましたが、自然を
愛し、人生の素朴な生活を享受することを心から楽しんでおられる
ようでした。ウチでとれた野菜でサラダを作り、穀物が一杯詰まって
いるパンとワインで、幸せいっぱいです。
そう、環境庁などで、もっと外国の植物や生物について、それが
はびこりすぎたらどんなに危険か教育・啓蒙活動をしてほしいです…
この頃の花屋さんに並んでいる花々はカタカナ語だらけで、
きれいだけれども、舌を噛みそうなものが多いです。ハイテクによって
作られたペチュニアやスミレなどは、蝶を含む虫が来ません・・・
何だか変だと思います。



Commented by maximiechan at 2015-09-15 23:05
飛行機の記事へのコメントありがとうございました。
さて、湿地の植物ですが、日本では蘭とともに大変に危機的状況にありますよね。
蘭は美しいがゆえに盗掘の被害に遭い、今や自生のものを探すのは大変です。
湿地の植物は住宅や工場などを建てるための埋め立てによって姿を消してしまったものがたくさんあります。いずれも人間のエゴによるものです。
この写真のように多くの湿地に生える植物が見られるというのは、そこに住む人々や行政が自然に対してかけがえのないものという考えをもっているからでしょうね。
古くは欧米の文化は自然を破壊してきたように思いますが、その反省があるのでしょうか。
日本は逆に自然とともに生きてきたはずなのに、今は残念なことが多いです。
外来種の問題は洋の東西を問わずにあるのですね。
Commented by tamayam2 at 2015-09-15 23:49
♡  maximiechanさん、
久しぶりにご訪問したら、自然派だと思っていた maximiechanさんが
飛行機の話をしておられたので、びっくりしました。私も乗り物も
すきですが・・・笑い 
さて、前項【743】にも書きましたが、この町Bourgesは世界遺産で知られる
大聖堂がある町。昔は、司教座があってカトリックの牙城だった場所です。
そのため、たくさんの修道僧の手があったらしく、人工的に土を盛り上げて
人口島を作りそこを菜園としたのです。カトリックの修道僧だから、真面目
によく働いたのでしょうね。たくさんの居候の食事を賄うために、必死に
働いたことでしょう。信仰の力もあったことでしょう。日本では、
今回のオリンピックの巨大な建造物のことでも、行き当たりばったりで、
自然との調和を考えるヒマもなく、昔からある自然を壊してしまう傾向
がありますね。残念なことです。シーボルトが(公務をないがしろにして
までも)日本の博物に魅了されたように、日本の自然は豊かさで満ちて
いますのに・・・やはり、教育が必要ですねえ。
Commented by echaloterre at 2015-09-17 18:33
ジュシーは、もともと19世紀に池や水槽の観賞用の植物として入ってきたそうです。
それが年月とともに、フランスの各地の沼地を侵食してしまいました。毎年夏になるとニュースになります。
マレには、10年前にはジュシーは生えていませんでした。8年前くらいから、徐々に増えていったように覚えています。
根こそぎとらないと、葉や花からも増えてしまうので駆除が大変です。
マレのすべての人たちが駆除に協力的だといいのですが、手間のかかる作業ということもあり、みんながみんなというわけにはいきません。
冬は枯れますが、春先に葉が出始めるころに細目に取り除いていくのが理想的です。
市も雑草を取り払う舟を出して、年に一度くらい川を清掃しますが、根こそぎではないので結局また生えてきます。
困りましたね〜。私は、"地球の手入れ"をしているつもりで、一生懸命ジュシーを引っこ抜いていますが、体力の限界もあるので無理はできませんね・・・
我が町は、水が豊かなので、プラタナスの木々をはじめ、とにかく植物がよく育ちます。
水辺の花も美しい写真にしてくださってありがとうございます♪
私のところは、手が足りないということもあって、自然に生やしていますが、島の淵をしっかりと固め、芝生などを島に生やして手入れをよくしているところでは、アカバナやミソハギの花は咲いていません。
マレは、少し野性的な方がいいと思うので、私は少々ほったらかし気味にしています・・・手入れが行き届かないいいわけでもありますがw
大人が自然や景観を大事にしている姿を見れば、子どもも自然とそういうことがわかって行くと思うのですが、
フランスもそういう傾向がありますが、日本は特にビジネスの名のもとに規制緩和を進めすぎて自然が壊れてきてしまいましたね…残念です。
Commented by tamayam2 at 2015-09-22 10:14
♡  echaloterreさん、
お宅の領地であるマレの島を訪問させていただいたのは、本当に
よい経験でした。話に聞くのと、実際に目で見てみるのとは大違い。
いろいろの発見がありました。
"地球の手入れ"をしているつもり・・・・とおっしゃいますが、
地球は、広い、ジューシーは力強い、なかなか人力では立ち向かうのは
難しいことですね。
水辺の植物、日本で見るものは、お宅の地方と比べれば、金魚鉢の
ようなサイズ。植物のたくましさ、強さが強く印象付けられました。
パリの植物園では、やっかいな種類の水草も標本園に植わっていましたが、
有益なものも、有害なものも同列に扱われており、面白く思いました。
また、有害なものも(ドイツでは柵の内部に植えたり、骸骨マークを
つけたり特に子供が近づかない工夫がされておりましたが)パリでは
公平に扱われておりました。何が有害か、ということは、人間の都合
によるもので、植物自体には、罪がないわけで・・・フランスのそういう
態度を面白く眺めました。
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