【743】マレに隣接した暮らし

長年のBlog友、Eさんのお宅を訪ねようと思った
一番の動機は、彼女のお話によく出てくるマレ、
Les Marais(沼地)というものがどういう所なのか。
そこでどんなことをなさっているのか、興味を覚えた
からだ。
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私は、ホテルから歩いて10分ほどの彼女のお宅に通った。
見上げるようなプラタナスの大樹の並木道。この横が
すてきな公園になっている。
川べりにひときわ窓辺の花の美しい家があった。
どんな人がお住いなのだろうか。
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カモ、オオバンが泳ぎ、リスが屋根伝いにチョロチョロと顔を
出す道。岸辺に咲く野草は何だろうか….うっかりイヌの落し物
を踏まないように!

大聖堂がある町だから、中世には、司教座というものがあって、
司教様が君臨しておられた。言ってみれば、そこは、カトリックの
王国のようなものだから、司祭、修道僧などのヒエラルキー
が存在していて、従う民の胃袋を満たす必要があった。

農地として、考えだされたのが、このマレ(沼地)だったらしい。
肥沃な土を盛り上げて小島を作り、そこで、野菜や果樹を育てた。
労働力は、修道士が担った。ふぅ~む、なるほど、よく考えられた
土地利用法。
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かつての修道士たちが汗を流し作った小島が、現在は1200もあると
いう。小島は、市民に賃貸されており、第一線を退いた中高年の人
たちの趣味と実益の場として、大いに活用されている。
一国一城ではなくて、一国一島の主となって耕作をしたり、
釣をしたり・・・友人を招いてお茶を楽しんだり・・・

但し、この島には、水道、電気はない。農機具を入れる小屋を
建てることはできるが、そこに住まうことはできない。
人々は、小さなボートをもっていて、竹の竿を静かに
掉さして、小島の間を移動する。

島でできた収穫物は、親しい友人にお裾わけ。
大がかりな土木工事や物資の運搬は、日本の“結い”のように
近隣に人たちが助け合って行う。
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そんな中で、わが友Eさんは、健気に近隣の方々の輪に
とけこんで、心からこの小島の領主の生活を楽しんでいらっしゃる
のだった。アジア人は、彼女一人という。
竹竿一本をあやつる船頭さん。
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水先案内を務めるのは、かっちゃんというイヌ。
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かっちゃんは、必要とあらば、果敢にも水に飛び込み、
またある時には、小舟から島へひょいと飛び移り、
またひょいと舟に戻ってくるという芸当もやって見せる。
そのすばしこいことと言ったら・・・・
その合間に、水際の野ネズミの穴に鼻を突っ込んで、
野ネズミを驚かしたり、領地の防衛、安全管理の
責任も担っているのだ。

かっちゃんは、島に上陸したとたん、非常に活発になり、忙しい。
私のような客をかまっている暇はないと言わんばかりに、島中を
駆け回って総点検に余念がない。
さっと水に飛び込んでは、がぶがぶと水を飲み、
島に戻って来ては、ネズミ穴を探す。
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こんな幸せなイヌがこの世の中にいるだろうか!
イヌのお洋服を着せられて、室内に閉じ込められている
ヤワな都会のイヌではなく、本当に野生のイヌが目を輝かせて
動き回っているのだ!

わずか数日の客人である私から見て、彼ら(Eさんとかっちゃん)
の生き方は、人間としてイヌとして、シンプルではあるが、
根源的な喜びに満ちた生活を実践しているように思える。

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by tamayam2 | 2015-09-08 13:02 | たび | Comments(16)
Commented by school-t3 at 2015-09-08 14:02
マレの様子がよくわかりました。
Eさんのブログとtamayamさんの解説が交差して
立体的になりました。
>根源的な喜びに満ちた生活....
納得です。
Commented by tabikiti at 2015-09-08 14:58
ほんとうに

Eさんとかっちゃん
みたいな暮らしがシンプルで幸せ~^^
Commented by tamayam2 at 2015-09-08 21:52
♡  school-t3さん、
そう、この方は、私のBlog友のリンクにある「フランス Bons vivants idées partout」
のEchaloteさんです。可愛いお嬢さんが綴っておられるのか、と想像しておりましたが、
彼女は、私よりはずっとお若い方ですが、しっかりした考えをもった素敵な女性
でした。ですから、お邪魔した4日間、まったく退屈はしませんでした。
毎日毎日が驚きと感動の日々でした。沢山食べ、語り、歩き、労働して・・・
楽しい日々でしたよ。
Commented by tamayam2 at 2015-09-08 21:54
♡  tabikitiさん、
ごぶさたしております。本当、シンプルって大事ね。
シンプルだと何が大事なことがよく見えてきます。
幸せな4日間でした。
Commented by nick-2 at 2015-09-08 23:10
お知らせありがとうございました。
Echaloteさんは、私のブログに一番たくさんのコメントを頂いてる方で、ありがたく思っています。
その彼女と会われたとは、びっくりです。
私も彼女のブログを拝見していて、野菜はたくさん作るし、料理も上手でどんな方かは想像も付くはずもなく、またマレが自然いっぱいで、地元より自然が残ってる感じで羨ましかったです。
また、登山もされていたようで、日本の山もご存知なのも凄いです。
Commented by tamayam2 at 2015-09-08 23:25
♡ Nickさん、
彼女のお話の中でわかったことですが、彼女は、大学のワンゲルに属して
おられたとか、大雪山を始めたくさんの登山経験もおありです。
すてきな生き方の女性で、私は、すっかり彼女との対話を楽しんで
しまいました。あまり最近、そういう経験はなく、いい経験をしました。
日本では耳にうるさい情報ばかりですが、本当の静かな対話がすくない
ように思います。
Commented by BBpinevalley at 2015-09-09 12:03
素敵なフランス旅行ですね。
沼地に小島を作って畑にするとは、面白いアイデア。
土には、とても栄養があるでしょうね。
沼地に面しているお宅は、湿気の問題はないのかしら?
水先案内のかっちゃん、可愛いです。
Commented by tamayam2 at 2015-09-10 11:18
♡  BBpinevalleyさん、
多分、土が肥沃なのだと思います。
それに、根を張れば、下は水ですから、水分の補給が
できるのですね。表面は、からからに乾燥しているように
見えるのですが、野菜がしっかり育っているのですよ。
面白い農法です。お宅おBlogを少し遡って拝見しました。
子羊が育って、孔雀がいて、何と豊かな自然でしょうね。
Blogは、日付が入っていますので、個人史の記録簿として
便利ですね。そのことを、このマレの生活をしているEさんも
おっしゃっていました。私も過去の記事を見て、その当時の
ことを考えることがあります。一日一日は、平凡でもそれが
蓄積されると、何かが見えてきますねぇ~
Commented by echaloterre at 2015-09-10 16:50
tamayamさん、マレの様子をわかりやすく書いてくださってありがとうございました。
あの時は、暑かったですね。
今は、朝晩は寒いくらいで、冬野菜が少しずつ生長しています。
花がたくさん飾られた家には、年配のご夫婦が犬と共に住んでらっしゃるようです。
花を手入れしたり、バルコニーを掃除なさってる姿を時折お見かけします。
実際に見てみないと、マレについてはよくわからないことがたくさんありますね。
長年のブログのお友だちのschool-t3さんやnick-2さんにもいつか見ていただけたらいいですね~。
ここは、他の町に比べたら湿気があるかもしれませんが、夏は気候が乾燥しています。冬は湿地があるということよりも
晴れた日が少なくなるので、そのせいで湿気が多くなることはありますね。
こんなに水があるのに、夏に蚊が少ないのは、どうしてでしょうね。その辺にも昆虫生息の状況の秘密があるかもしれません。
私のところ、周辺では除草剤は使ってないので、蜂はたくさんきます。昆虫の謎!もおいおい調べてみますね。
Commented by tamayam2 at 2015-09-11 01:02
♡  echaloterreさん、
お宅にお邪魔したのは、4日間でしたが、ちっとも長いとは
感じませんでした。いつもドキドキとするような発見がありました。
それにわからないことは何でもうかがえるというのは、幸せなことです。
school-t3さんやnick-2さんも、私があなたの所を訪ねたことを
知ってもらいました。本当になが~いお付き合いですね!
私カナダに住んでいたのですが、そこにも蚊がいませんでしたから、
網戸のようなものは、ありませんでしたね。また、ドイツの家でも
蚊がいませんでした。池のほとりに職場があったのに・・・
やはり、冬の寒さが厳しいし、緯度が高いので、(日本から見れば
樺太ぐらいの緯度)昆虫の生育には適さないのでしょう。
フィリッピンでは香取線香を使っていましたし、昨年訪ねたグアテマラ
(中米の国)でもお土産に金鳥香取線香を持参しましたっけ。
蚊がいない国は、昆虫にとって生きにくい国ということでしょうねぇ~(笑)
Commented by aamui at 2015-09-16 07:44
ご自分で選び取った生活 万歳 またこうしてそのことを伝えて下さる方がいて繋がること 有難いです<m(__)m>
Commented by tamayam2 at 2015-09-17 14:47
♡  aamuiさん、
そうね、 echaloterreさんの地球にしっかり足をふんばって
生き生きと暮らしておられる生活を拝見して、いいなぁ~
自分で選びとった自由な生活、手本がなくても自分できずいていく
生活、その生き方の清々しさを感じました。
いろいろなご縁で結ばれている人生ですが、こういうお付き合いも
いいわねえ。
Commented at 2015-09-18 02:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2015-09-18 16:29
♡ 鍵コメさま、
気付くのが遅れました。すみません。そう、ミネソタ州は、湖沼が多い地域
ですね。でもカナダとの国境に接しているのね。それなのに、蚊が多いって!?
信じられません。ウチの子供が小学生の時、文部省管轄の補習校の宿題に
理科の宿題として、トンボ、セミ、蝶などを観察しましょう、というのが
あったのですが、トンボどころか、蚊もハエもみたことがなく・・・そんな
宿題はしたくても出来ないのでした。オハイオ州は米国の真ん中ですから、
大陸性の気候なんですね。デトロイトに住んでいた叔母は、今94歳で
シアトルですが、雪が少なくて過ごしやすいと言っています。地球上、
いろんなところがあります。住めば都・・・Yamyam町のごちゃごちゃした
町に住みつつ・・・そんなことを考えています。
Commented by オーマ235 at 2015-09-28 20:18 x
ご無沙汰しております。私は、相変わらず、小間切れタイムの連続で、
tamayamさんの行動力にウットリしております。
Eさんのブログは、yamyam1丁目から寄り道して拝見しておりましたが、
マレと言う地形がよく分からずにいました、、、。

何々、コウホネ!ヒツジグサ!! オモダカ!!! そうか!
キット、マレって、尾瀬沼みたい! と尾瀬を思い出しながら考えましたが、
違うのかしら? そして、 まさか(♩ゆーれ揺れる浮島よ) が畑だったりして?
舟で漕ぎ出すなんて、ロマンチックと言うか、羨ましい様なゆったりした時間の流れ
は、絵を見ているよう。「モネの小径」って ネーミングもぴったしで素敵!
小間切れタイムのオーマには、夢のようなtamayamさんの旅でした。ダンケ!
Commented by tamayam2 at 2015-09-29 16:40
♡ オーマ235さん、
こちらこそ、本当にごぶさたしております。
EさんのBlogをお読みでしたか。私がドイツにいるとき、
彼女のフランスのお話がおもしろくて、かれこれ10年ちかいお付き合い
です。私もマレってどんなところだろう???想像がつきませんでした。
尾瀬、千葉県の水郷、福岡県の柳川・・・のようなものを想像して
おりましたが、それともちょっと違うのです。そう、尾瀬の浮島の大きく
した者100~200平米ぐらいのものを、市民が市民農園として借りている
と考えたらいいでしょう。この後の稿にドイツのトミ子さんも登場
しますよ。彼女のコメントの面白いこと!ぜひごらんください。
細切れタイムって、お仕事がお忙しいのでしょうか。仕事も遊びも、
ご家庭のことも、ぼちぼちやってください。ふふふ
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