【711】バンクス花譜展

世界史の中で私が一番心躍るのは、大航海時代。

1768年、ジェームス・クックが率いる帆船、エンデヴァ―号が
イギリスの港から大航海に乗り出した。その航海の目的は、天文学に
関するものであったが、乗組員の中に植物学者ジョセフ・バンクス
(1743-1820)が含まれていた。彼は、寄港地ソサエティ島、ニュージランド島、
オーストラリア、シドニー湾付近、ジャワ島でたくさんの植物を採集し、
絵師に精密に記録させた。それらを植物学者バンクスの名にちなんで、
「バンクス画譜」という。
展覧会主催者のBunkamura ザ・ミュージアムが所蔵しているものと
主に、オーストラリア国立海事博物館所蔵の絵が公開されている。
HPはここ
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オセアニア地方の植物には、独特なものが多いが、そういう植物に
関心のある方、また、広く植物精密画に関心がある方には、
とても見応えのある展覧会である。

バンクスという名を聞いて、私はすぐバンクシア(Banksia)という植物を
思い出した。何を隠そう、このバンクス氏が命名者だ。
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なんだか針金のように硬い花びらで、花の形はタワシのようだ。
このポスターの下に描かれている種は、めったに飛ばすことが
少ないが、一旦、山火事になると(殻は燃えにくく)、火に反応して盛大に
種を弾き飛ばす性質があるという。何年かに一度起こる山火事の跡地に
この種は真っ先に芽吹き、子孫へ命を繋ぐと言われている。
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昨年2月に訪れた中米・グアテマラでは、高木に成長したバンクシアの樹を
よく見かけた。
バンクシアはヤマモガシ科に属し、これらの植物は、ほとんどオセアニア、
中南米など南半球でよく見られる。日本では植物園のオセアニアの植物の
コーナーで見ることができるが、余り生育がよいとは言えず、少し残念に思う。
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この精密画を描いた絵師たちは、ジャワでマラリアにかかり、多くの人が
ジャワから喜望峰に至る航海途上で落命したということである。
飛行機もカメラも無かった時代の話である。
植物精密画は、カメラよりも正確にその植物の姿を生き生きと再現している。

by tamayam2 | 2015-01-24 11:38 | 日々のできごと | Comments(14)
Commented by オーマ235 at 2015-01-25 07:31 x
tamayamさま
何時もの事ながら催事情報が豊富!(感心!驚き!)
求めよ さらば 与えられん、、、なのですね。

我が家の垣根の中に「ボトルブラシの木」があります。
この木も、オーストラリア原産で、山火事で初めて種が
目覚めるのだそうです。環境に適応しようとする生命の逞しさ
に驚かされますね。 私も趣味で絵を描いておりますが
風景画でも静物でもiPadで撮り参考にしています。
光線が時間とともに変わったり、花がどんどん開いたりして
描きたい対象が変わっていくからです。
そうですね。昔の人々は、しっかり目で見、脳裏に焼き付け
たのでしょうね。現代人の持ち歩くカメラや携帯電話がどれ位
便利であるかを思い知らされますね。それに、振り回されても
おりますが、、、。上手に活用せねばですね。

Commented by tamayam2 at 2015-01-25 14:11
♡ オーマ235 さん、
まぁ!お宅にブラシの木があるのですね。いいわね。私、New Zealandに2年間住んでいましたが、その時は、植物に興味を惹かれつつも仕事が忙しくて、植物園にも行かずじまいです。機会があればちゃんと見て
見たいです。また、オーマ235 さんは、絵を描かれるのですね。いいですね。
植物でも、しっかり細部を見ないと
描けませんから、本当は植物観察も
メモのようなスケッチのほうがいいと思うことしきりです。写真の場合は、全体、部分、生えている環境と
たいていは、3種類ちゃっちゃと
撮っております。それでも、後から
情報が不足しており、冷や汗を
かくことも多いです。ふふふ
Commented by nenemu8921 at 2015-01-26 19:03
面白そうですね。植物画、いいですよね。
ジョセフ・バンクスはプラントハンターですね。
大航海時代は夢がありましたね。
宮沢賢治は(いつも賢治でゴメン)、ルーサー・バーバンクにあこがれていた様子です。
多くの植物の品種改良をした人です。
ブラシの木は植物園などで最近見かけることが多くなりましたが、
こんな背景があったなんて知らずに見ていました。
ありがとう。今度出会ったら、しっかり見てみます。
花のときより、つぼみの状態の方が興味深いですね。
Commented by tamayam2 at 2015-01-27 21:07
♡  nenemuさん、
賢治さんは、L.バーバンクにあこがれていたんですね。植物に関心がある人ならば、この時代のPlant hunterにもきっと関心があったろうと思います。私は写真が好きですけれども、植物を深く知るには、精密画も大事だと、最近は思います。
なるべく丁寧にスケッチができれば
いいのですが・・・ついつい写真を
とって記録した気になっています。
あとから見てみると肝腎の情報が乏しく、お蔵入りすることも・・・ふふふ。オセアニアの植物、とても
ユニークで興味がつきません。
Commented by bantelner at 2015-01-28 08:34
植物学者バンクス・・・存じませんでした。
オセアニアの植物・・・遠い存在だぁ~
・・・と思って画を見ていたら・・・・
あら、このタワシの下にあるパカパカ口の開いたような実には
見覚えがありますぞ!?
ありましたっ!うちにゴロンと転がっています!
長さ25㎝、直径8~9㎝、重さ約800ℊある、結構大きな硬い実が。
へぇぇ~、バンクシアって言う、バンクス氏直々命名の植物だったんですかぁ!@@

実はうちにある名も知らなかった植物のことを、こちらで教えていただくことが多いのです。
ありがとうございました!
Commented by tamayam2 at 2015-01-28 13:58
♡  bantelnerさん、
まぁ!お宝がお庭にごろりと転がっていたなんて、冗談のようです。
この種は、山火事に出会うと盛大に種を飛ばすそうですから、お宅が火事に
ならない限り、じっとそのままでしょう。くれぐれも火事を出さないようにね。
オーストラリア、NZの植物は本当に愉快な形、愉快な働きをしている
のです。私、住んでいたときには、
植物に、なーんも関心がなくて、
今から思えば、惜しいことをしました。
Commented by bantelner at 2015-01-29 17:20
tama母さま
ね、うちにもあったなんて冗談みたいでしょう?
私もビックリしました。w
でも、ゴロンと転がっていたのは庭ではなく、うちのFensterbankの上です。実だけ。
夫がいつだったかLignaと言う木・木工に関するメッセに行って、面白いものを見つけたと買ってきたのです。
(lignaとはラテン語で『木』と言う意味だそう)

火事になると種が飛び出すなんて、自然の働きはすごいですね。
うちは木の家で特に燃えやすいので、種をはじけさせないようホント気を付けなければです!(^^;)
Commented by tamayam2 at 2015-01-29 18:24
♡  bantelnerさん、
そう、お宅のご主人は、木彫の方でした!いつか素敵な作品を世田谷で見せていただきましたっけ。
そう、木を愛している人なら、なんだかおもしろいと思って、手に入れたく
なるかもしれません。私のウチにも
そういう色々雑多なものがゴロゴロ
しておりまする。
モクレンの実とか、すずかけ楓の実
とか、他人は何とおっしゃっても、私にとって、宝物。
特にドイツトウヒ(Picea abies)の実なんか。
Commented by オーマ235 at 2015-01-29 20:03 x
tamayamさま、私もすずかけ楓の実が大好きで、近くの公園に落ちている実の
踏まれていない物を拾ってきてクリスマスのリースに使ったり、置物にして飾ったり
しています。見れば見るほど芸術的で、自然の美しさに感心しています。
それにドイツトウヒ!ハンブルク郊外の駅に向かう途中にいっぱい落ちていて
これも、踏まれていない形の整った物を拾い記念に持ち帰り飾っています。
素敵ですよね。絵になりますよね。感動するものが同じ!って、嬉しいです!!!
banteInerさまの最初のコメントで、オセアニアの植物が寒いエリアで生育しているのかと
ビックリしかかったのですが、次のコメントで納得! おお!ご主人様も、同じ感性の
持ち主のようで嬉しいでーす!
皆、意味があっての形なのでしょうが、芸術的な美しさに感動ですね。ダンケ!!
Commented by tamayam2 at 2015-01-29 21:48
♡ オーマ235さん、
本当に自然の造形の美しさには、目を見張りますね。
ワシントンDCの娘の家の庭にスズカケ楓の大木があって、硬い実(Corn)がたくさん落ちています。踏むと靴に穴があきそうに硬いのです。リースに使ったら、と私は思いましたが、そこでは、厄介者として扱われておりましたね。(笑)
数が多ければ、厄介者になるのね。
ドイツトウヒの実は、カッコウ時計の錘(おもり)にその美しい造形が使われています。
ドイツ人は、森の民ですから、Fichte(トウヒ)を
愛しているのでしょう。私は、ドイツ生活の思い出に拾ったものをなかなか捨てることができません。
ドイツにいるときに、植物に目醒め、ゆっくり自然の中で遊びたいと思いましたが・・・。いろいろなところの思い出の品々がゴロゴロしている家に住んでいます。そろそろ片づけなければ・・・(笑)
Commented by KawazuKiyoshi at 2015-02-03 15:24
バンクス
面白い話でした。
歴史は面白い。
今日もスマイル
Commented by tamayam2 at 2015-02-09 10:06
♡  KawazuKiyoshi先生、
Facebookでは、河津先生ですので、なんだか横文字で
読むと別人みたい・・・(笑)先生は、今タイ国を
ご訪問なんですね。南国の空気は人をとろけさせるような
甘美な雰囲気がありますね。私も今ロサンジェルスにおり、
植物の美しさに見とれたり、子供たちの作り出すおもしろ
おかしい出来事に目を奪われております。
Commented by ikutoissyo at 2015-02-09 16:08
暮れに文化村に出かけたときには、この展覧会は開催されていたのに、気が付きませんでした。
何回もこちらに伺って(コメントなしで)、2枚目の写真に魅せられています。美しい形ですね。
これが、あのブラシの花なのでしょうか?

朝日新聞でもこの展覧会のこと取り上げていました。
Commented by tamayam2 at 2015-02-10 12:27
♡ ikutoissyoさん、
地味ね展覧会ですが、植物好きには、たまらないです。
さて、2枚目の植物は、バンクスさんが名づけた、バンクシア
です。形が非常に美しいです。
私、今、米国ロサンジェルスにおります。こちらは、亜熱帯
性の気候で、植物がとても興味深いです。植物に興味が
あると、特に名所旧跡に行かなくても、ちっとも
退屈しません。それが、いい点です(笑い)
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