【686】スキマ植物

私のリンクにあるBlog「太美吉の楽書」には、「うまれたばしょでさく」という
タグがある。

敷石の間、ブロック塀と道のスキマに生えて、花を咲かせている植物の
スナップが集められたり、67枚!

そういう細部に宿るささやかな命に心寄せる太美吉さんという方は、
お目にかかったことはありませんが、きっと心やさしい方なのだろう。
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私は、長らくこういう道端のスキマ植物を不遇な植物だと思っていた。

考えてみたらいい、例えば、広いお庭のあるお屋敷に育つ子どもと、
他人の家の軒先の陰にひっそりと建つ小住宅で育つ子どもと・・・
前者の子どものほうが幸せに決まっていると・・・。
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しかし、最近出版された上の本を読んで、目から鱗・・・非常に驚いた。
中公新書2259 『スキマの植物図鑑』塚谷裕一著
筆者、塚谷氏によると、こういう植物は、憐れむべき気の毒な植物ではなくて、
むしろ非常にラッキーな植物だというのだ。
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私どもは、ヒトの立場から自然界を見てはいけない。

植物にとって幸せな環境とは、塚谷氏によれば、
「水も肥料も潤沢にあり、通風も適度にあって、そしてさんさんと太陽の光が射す
状況」が、「一か所に根を下ろしたまま動くことができない植物にとって、光合成を行う
は最高の場所」なのだそうだ。
であるからして、
「コンクリートの裂け目、アスファルトの割れ目、石垣の隙間、ブロック塀や電柱の根元」
など、我々の生活圏のすぐ身近にある環境に、偶然にも種を落としたものは、非常に
幸運な存在と言えると言うのだ。
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ああ、彼らの生存の営みの根幹が光合成であることを、つい忘れていた!
さて、この本を読んでから、私も“スキマ植物”を意識して見るようになると、
ほんとうにまぁ、いたるところにこうした“スキマ植物”が見えてくるのだ。
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あるものは、園芸用植物が庭先から逃げ出したもの、あるものは、鳥のフンを介して
運ばれたもの、あるものは、種が勢いよく弾き飛ばされて・・・着地したところが、
コンクリートの割れ目だったり・・・。
そういう植物は、冬の間に地中に深く根を下ろし、春になるとすくすくと伸びていきます。
周りに競合する植物も無ければ、燦々と照る太陽の恵みも独り占め。
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こういう場所に生える植物を雑草とばかりにせっせと抜く人もいるでしょう。
うまく生き延びて、居場所を確保できれば、シメタものです。
生きとし生けるもの・・・みな光と空気、水分が必要です。
筆者の塚谷氏の植物対する暖かい視線に感動しつつ、身近な植物の健気な力を
称えたい気持ちが、どこからともなく湧いてくるのです。

この書物、2014年3月25日に発行されておりますのに、なぜか書店でお目に
掛かりにくいのです。有名なA社に注文しますと、中古本しかなく、
定価が1000円なのに、倍以上のお金を払うはめになりました。
地方の古書店から送料を払って、手に入れたのです。

今年の3月に発行され、翌月に注文を出しているのに、新本が買えないとは、
いったいどういう仕組みになっているのでしょう。
これは、日本の出版界の七不思議です。

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by tamayam2 | 2014-05-25 23:56 | 日々のできごと | Comments(24)
Commented by 寧夢 at 2014-05-26 01:38 x
私もこの本、読みました。
やっぱり手に取られていたんですね。
植物は詳しくないけれど、ついつい面白そうな本は。

そうなんです、手に入りにくいでしょ。
私はラッキーにも、ビジネス街の駅の本屋さんで見つけて、即買い。
(こういう場所は新刊がどっと並びます)

ちなみに、アメリカでは新刊を扱う本やさんどころか、
本屋そのものがどんどん無くなっているそうですね。
宅配よりも、実物を手にとって眺めて買う楽しみがなくなるなんて、
ちょっと困るなあ・・・。
Commented by kimiko_shibata1 at 2014-05-26 04:40
とても興味深い本のご紹介と記事、早速本を探します。我が家の塀と道路との隙間に年ごとに新しい命が定着しております。
Commented by tamayam2 at 2014-05-26 06:16
♡ 寧夢さん、
さっすが!読書家の寧夢さん、即買いなさったのね。
私は、どこかで書評を読んで探したのですが、書店には無く・・・
アメリカで、本屋が少なくなっているのは、事実だと思います。
みんなインターネットで手に入れたり、電子書籍の時代になって
きましたので、本屋は、カード屋あるいは、ギフトショップの
ショールームのようです。
Commented by tamayam2 at 2014-05-26 06:20
♡  kimiko_shibata1さん、
お久しぶりです!筆者は、素人向けにやさしく書いていますが、
内容はとても豊かです。園芸植物も庭からどんどん逃げ出して
道端へ移動していきます。そうすると、在来種との競合が避けられない
わけで、(私の愛するフツ―の日本の雑草が脅かされることにも
なります)いろいろ考えさせられる本でした。お元気で!
Commented by kanmyougam at 2014-05-26 07:54
書籍類・雑誌・・・・週刊月刊・・
出版され事は即店頭に並ぶと考えますが、
店頭に並ばない、またはすぐに消えることになる、出版界の謎みたいです
。仕組みがあるらしいですね。店頭に全く並ばずに消えたり。

車に新古車というのがありますが、
間がほとんど走っていない車です。
本とは違いますが似た仕組み・・・・。

日の目を見ない本があります。なかには名著も。

素晴らしい本を紹介ありがとうございます。。
Commented by tabikiti at 2014-05-26 11:05
素敵に紹介
ありがとうございます !
Commented by tamayam2 at 2014-05-26 17:55
♡  kanmyougamさん、
店頭に並ばない新刊書があるのですね!?!?
私、1000円定価の本に2350円ほど払ってしまいました。
変だなぁ~と思いつつ、はやく読みたかったので・・・。

そういう人がひっかかる一つの”手”だったのかもしれません。
残念ですが、まぁ、騙すより、騙されるほうが、よか、と
思っております。振り込み詐欺には気をつけておりますが、
変な電話がよくかかってきます。友人には外国人が多いので
非通知でも受ける設定にしております。そろそろ考えねば・・・・
ふふふ、世間はだんだん老人には複雑すぎます(嘆)
Commented by tamayam2 at 2014-05-26 18:01
♡  tabikitiさん、
生まれた場所で咲く・・・というタグのネーミング自体が
いい言葉です。生まれた場所で、文句を言わずに、しっかり
生を全うするということは、何という素敵なことでしょう。
あちこちさまよい歩くTamayam2は、そういう人たちを
心底尊敬しているのです。
Commented at 2014-05-26 23:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2014-05-27 07:37
♡  cimarronさん、
Memorial Dayは5月の最終月曜日に変わったのですね。
そのセレモニーを見られたとは、よかったですね。私は、見た
ことがありません。雑草が煉瓦やセメントも動かすというのは
本当でしょう。あのアンコールワットの遺跡も大きなシメコロシの樹
が石の構築物を破壊し始めています。大きくなったら、手に
負えなくなるから、小さい内に芽を摘んでおかないとえらいことに
なりますねえ。
Commented at 2014-05-27 23:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2014-05-28 19:45
♡  cimarronさん、
日本もこの頃は、月曜日が休日のことが多く(固定ではなく移動
休日です。)そのため、大学などでは、祝日も授業をやるところ
もあると聞いています。月曜に授業が失われるケースが多いので。
forever stampについては知りませんでした。日本は、この4月
から消費税が5%から8%になり、切手も+2円となりました。面倒
ですよ。日本もforever stampを発行してくれればいいのに・・・
娘から来る郵便には時計と釣鐘の図柄が多いと思いましたが、
これがforever stampだっだのかも・・・・ふふふ。
Commented by maximiechan at 2014-05-28 22:10
たいへんに興味深い記事を書いてくださり、ありがとうございます。
自然の番組などでもよく、極地や深海、砂漠や高山などの生き物を紹介する際に「過酷な環境に生きる」などと紹介していますが、それはいずれも人間の生きる環境を基準にしての考え。そこに生きるものにとってはそこが適正な場所なのです。
とは言っても、同じ生物がどんな所に生まれ育つかという視点に立てば、たしかに隙間に生きる植物は不遇に思えなくもなかったです。それが、そうでもなかったというのは目から鱗。
Commented by aosta at 2014-05-29 10:12 x
敷石の間、庭石の縁、我が家の庭にもスキマの植物たちがあちこちで花をつけ始めています。こぼれ種で増える植物にとって、こうしたスキマは風や雨で種が流されることのない安全地帯なのかもしれませんね。
わずかな隙間から見えている部分より、土の中ではたくましくしっかりと根を張っているのでしょう。
ご紹介いただいた本については知りませんでした。
私も読んでみようと思ったのですが、店頭に並ばない新刊書??
不思議ですね。まずは図書館で探してみることにいたします。
Commented by ikutoissyo at 2014-05-29 10:16
スキマ植物が好きで、見つけるとパチリパチリとやっておりました。
其のどれもが実に美しいのです。
美しい理由がそこにあったのだと、今納得しました。
嬉しい情報をありがとうございます。
その本、探して絶対手に入れたいです。
Commented by tamayam2 at 2014-05-30 09:11
♡  maximiechanさん、
本当に、つい私どもは、ヒトの眼から見て自然界のことを
推し測ってしまうものですが、自然には自然の法則があること
に気づかされました。ありふれた町中で見られる植物に関しても
教えられることが多々あり、この本の筆者に共感を覚えました。
この頃は、片仮名の園芸種が花盛りですけれども、日本土着の
在来種が脅かされないよう祈ります。庭から植物たちが逃げ出す
という現象にも関心を持ちました。
Commented by tamayam2 at 2014-05-30 09:16
♡ aostaさん、
昨日都心の大型書店へ行きましたら、この本は、新刊本として
平積みになっておりました。私の宣伝が功を奏した?・・・のでは
ないでしょうが、私が求めていたときは品薄の時だったのかも
しれません。スミレ類は、特殊な液を分泌し、それにアリが誘われ、
アリが地中に種を運ぶのだそうです。アリは、コンクリートの隙間
に出口を作り、土をふかふかに耕してくれるそうです。そういう虫
と草との共存関係も興味深い話でした。
Commented by tamayam2 at 2014-05-30 09:20
♡ ikutoissyoさん、
道端の隅っこに咲く草花には、なぜかいじらしさがあって、つい
足を止めて見てしまいますね。この本には、ありふれているけれども
名前がわからなかったものなどもたくさん載っていますので、私も
散歩が楽しくなります。もう本屋に並んでいるようですから、ご安心
ください。
Commented by ikutoissyo at 2014-05-30 16:48
昨日、あれから直ぐにPCで検索しアマゾンに注文。
今日の午前中に届きました。
送料無料で・・・。
アマゾンで買うのが良いのか悪いのか、悩むところですが・・・。

夕食後が楽しみです。ありがとうございました。
Commented by tamayam2 at 2014-05-30 19:25
♡ ikutoissyoさん、
それは、よかったですね。私のときがちょっと異常だったのでしょう。
私は、何でもアマゾンで買うクセがついているのですが、
たまには、本屋に出向くのもいいなぁ~と思いました。
なかなか目的の本には、たどりつきませんが・・・トホホ。
Commented by aamui at 2014-06-02 21:00
隙間の雑草たちの逞しさ大好き ひこばえなんかも同じ意味で愛しい感じがする
即買おうと思いましたが ベストセラーとか 寧夢 さんのコメントを見て図書館に行くことにしました いつも有難う! 
Commented by tamayam2 at 2014-06-03 07:57
♡  aamuiさん、
あの本は、一時的に品薄になったようです。でも、今
大手の本屋さんには出ておりました。一番いいのは、
図書館でしょう。どうぞ見てください。
もしかして、このBlogで宣伝したことが、増刷につながった
とか・・・ま、それは無いわね。私は、Blogでモノを宣伝を
したくないのですが・・・・ふふふ。
Commented by aamui at 2014-06-06 19:05
今晩は 私もアマゾンがとっても便利でスマートでいつも利用しますが アマゾンは日本に税金を払っていないと聞き なんだかなー(*_*;と思いますが・・・・・やっぱり荷物の開けるのにもとても工夫がしてあり負けてしまいますね たいがいワンクリックなの
Commented by tamayam2 at 2014-06-06 22:50
♡  aamuiさん、
鍵にしなくても大丈夫ですよ。アメリカ人は、日本人より、
かなり大ざっぱで、大胆ですね。友人がUSBスティックを
注文したら、やはり、例の大きな袋にスティックがたった
1本ころりと出てきたそうです。画一で、効率追求型ですね。
いろいろなサイズに対応したり、相手の都合に応じて・・・などと
考えられないみたいね。でも、我々からみれば、そこが面白い
わね。
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