【613】お墓事情

ケルン(Köln)に住んでいたころ(2004~2007)、
どちらにお住まいで?と聞かれたら、
Melaten墓地の近くと答えていた。
そう言えば誰でも知っているケルン市の市民墓地。
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嘘か本当か知らないが、Melatenとはフランス語でmaladie(病気)と
言う意味で、16C~18Cにヨーロッパを襲った黒死病(ペスト)のころ、
市を取りまく城門を開け、城外であるこの地へ遺体を捨てたという。
病気というのは、ペストのことだったらしい。

牧師も棺桶も墓堀り人もいなくなって、庶民は埋葬もできず、ここに
親族の遺体を運ぶしかなかったという。
モーツアルトの生涯を語った映画「アマデウス」でも、大雨の中、
モーツアルトの遺骸を載せた台車を遺族が城門のところで見送る
シーンが出てくる。
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上は、昔の城門跡がまだ残っているケルンの繁華街Rudorfplatz
墓地は、ここから市電で3駅のところにある。
Melaten墓地は、市民で教会税を払っている人なら5、60年間借りる
ことができる。土葬が主だが、最近では衛生的見地から火葬が
奨励されているという。しかし、火葬場が足りないので、火葬まで
10日以上待つことも普通だそうだ。
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立派な彫刻をほどこした古典的な墓もある。
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こちらは、一見草花の植え込みのように見えるが、新しいスタイルの集団墓地
である。大理石に個人の名が記してある。よく見なければ、墓石と見えない。
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こちらは、樹木葬のように、一本の木を中心に放射状に遺灰が埋められる。
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生木ではなく、石の塔や、横に配列した墓石群もあった。

人は、どんなに高貴な人でも死ねば、土に還り、辺りの植物の
肥やしとなる。当たり前のことだが、なかなか合理的に処理
しにくい問題である。

私の友人の墓がどんなスタイルになるのか、知らない。
後日、ケルンを再訪するときには、ご遺族に場所をうかがって
墓前に花を手向けようと思う。

日本と同様に、敗戦国であったドイツ、ケルン市は、大聖堂を除いて
全て空襲で焼かれ、瓦礫の原になった。ケルン市長であり、戦後、
連邦政府の初の首相になったアデナウワー氏は、市の再建に当たり、
町を取りまくように緑のベルトを二重、三重に巡らすことを最優先
課題とした。
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市民が憩える安全な森が歩いていける範囲にある都市というのは、
非常にありがたかった。
私は、森からたくさんのことを教えてもらったと思う。

by tamayam2 | 2013-06-21 20:05 | たび | Comments(12)
Commented by semineo at 2013-06-22 00:24
こんばんは
悲しい出来事がありましたね。
親しい友人との別れは、殊の外辛い事です。
Gさんも、遠方から足を運ばれてmayaさんに感謝しながら
安らかに旅立たれた事と思います。

ドイツのお墓、お墓とも思えない程素晴らしいですね。
これからは日本もお墓の事情は変わる事と思います。
Commented at 2013-06-22 02:37 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2013-06-22 07:13
♡  semineoさん、
お墓と言えば、お化けが出るところという暗~いイメージは
最近の集合墓にはありませんね。衛生的見地から火葬が
奨励されているようですが、やはり、土地の問題もあります。
この墓地には、Gと来て散歩したことがあり、たくさんの樹木
の名を教えてもらいました。ふつう墓地の近くに住むというのは
よくない土地柄なのかもしれませんが、私は静かで、気に入って
おりました。
Commented by tamayam2 at 2013-06-22 07:25
♡  frauKoeln さん、
初めまして!墓地の東側Universitaetsstrの駅やアジア食品
のところは、よく通ったところです。なつかしいです。ケルンは
観光的には、Dom以外特筆すべきものもなく、デュッセルドルフ
やボンのほうが面白いかとも思いますが・・・何かの縁でこのBlog
に出会われたとは、うれしいような、ありがたいような・・・また、
あなた様が見聞記をお書きになるようなことがありましたら、
読みたいと思います。教えてくださいね。同じ場所でも人それぞれの
感じ方がありますから。 これから9月まで、Kölnの地の利を利用して
あちこち行ってみてください。いい夏となりますように。
Commented by kanmyougam at 2013-06-22 10:26
お友達をなくして辛い思いをされましたね。
gさんのご冥福をお祈りいたします。
葬儀・埋葬のあり方は国や地方や宗教でも違いがありますが
歴史のなかで経てきた様子が読み取れてあらためてtamayam さんの思いの深さを感じました。
画像で見る森の墓所にびっくりしています。
いいものですね。
Commented by tamayam2 at 2013-06-22 16:34
♡ kanmyougamさん、
お弔いの気持ちは世界共通ですね。でも、いろいろ形式が
ありますね。私も集団で埋葬する新しいやり方を見て
いろいろ考えさせられました。日本も土地が狭いし、家の
子供たちも遠くにいるし、もう子供に墓守りをさせられない
のだろうなぁ~など考えております。
Commented at 2013-06-23 05:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ikutoissyo at 2013-06-23 09:01
異国で心の通えるお友達を得られたことは、素晴らしいですね。
先に逝ってしまわれましたが、思い出が沢山残ったことでしょうね。
ご冥福をお祈りいたします。

この歳になると、お墓の問題が身近になりますね。

アデナウアーさん、戦後よく耳にした政治化の名前でした。
久しぶりに懐かしい響きに接しました。
当時の混乱した日本の様子が、一気によみがえりました。
Commented by tamayam2 at 2013-06-23 15:39
♡  cimarron さん、
コメント承認制にしたのは、特定の記事になぜか、変なコメント
が多いのでそれを防ぐためでした。なのに、この間記事管理の
ボタンを押したら、未承認のコメントがたくさん残っていることに
気づきあわてました。過去の記事をちゃんとチェックしていなかった
から、こういう間違いが起こり、 cimarron さんを始め大事な
Blog友に失礼なことをしてしまいました。お宅のお庭に起こる
できごと、Stormや Northan Cardinalのこと。日本では
Cardinalの類をみたことがありません。きれいな鳥ですね。
うらやましいです。墓地も散歩できますね。私も友人とよく歩き
ました。樹木の名を覚えた場所です。ささやかな生活の喜び
を報告し合いましょう。Cardinalの写真が撮れたら見せてください。
Commented by tamayam2 at 2013-06-23 15:44
♡  ikutoissyoさん、
そう、私どもの世代は、戦後よくアデナウアーの名を聞いた
ものですね。吉田茂のころでしょう。
戦後の混乱期は、どこの国でも食うだけで精いっぱいだったと
思うのですが、この方は、瓦礫の原を見て都市計画を考え、
人間の生活の近くには、緑地、森が必要と主張なさったと
聞いております。ケルンの市民が彼を尊敬して語るのを
何度も耳にしました。下町の教会の前にちょっとさびしそうな
老人の像があり、よく名をみたらアデナウアー氏でしたので、
撮影しました。
Commented at 2013-06-24 10:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2013-06-24 23:45
♡  cimarronさん、
受け取りました。ありがとうございます。stormの激しさに
おどろきました。Cardinalがうまく育って巣立ちしてくれると
いいですね。感謝して
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