【601】ヨウラクツツアナナス

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ヨウラクツツアナナス【瓔珞筒アナナス パイナップル科 Billbergia nutans】南米産
この植物は、瓔珞(ようらく)は、お寺の本堂の仏様がおられるあたりの天蓋から吊るされたキラキラした飾り物などを言います。
ツツは、筒ですね。アナナスというのは、パイナップルのことです。
そもそも英語のpine +apple=パイナップルとは、変な言葉です。
文字通り訳せば、松+りんご。見た目には、松カサのようで、味はリンゴのように
甘酸っぱくジューシー、とでも言いたいのでしょうか。
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さて、名前のことは別にして、ウチにあるこの植物について、ちょっとした話があります。
初めてこの植物を見たのは、夢の島熱帯植物園で。私は造形的にすばらしく美しい
と思い、感動しました。ピンクの枝から穂のようなものが垂れ下がり、上に反り返って
いる花びらのようなものは緑色、濃紺の縁取りが施され、蕊は黄色。
色合いが非常に手がこんでいて、見事なのです。

次に見たのは、都内を走る大動脈、環状七号線の埃っぽい通りの道端でした。
この植物の鉢が手入れもされず無造作に置かれているのを見たのです。その場所は、
この地で長年営業している豆腐屋の裏手に当たります。わたしゃ、その鉢に並々ならぬ関心を
抱きましたが、(それは秘して)まず、その豆腐屋と顔なじみになるべく油揚げ10枚とか、
厚揚げ3枚と豆腐2丁とか、買い物をし続けたのです。
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しばらくしてやっと顔なじみになったころ、恐る恐るこう切りだしたものです。
お宅のあの瓔珞筒アナナスは、実はやんごとなき植物であること、ああして
プラスティック製の鉢が割れるほど放置していると、非常に残念なことになりかねない、
半日ほど私に預けてくださらないか。されば、私は新しい鉢に植え替え、培養土や肥料も
ほどこした上お返ししたい。厚かましいお願いだと思うが、その際、株分けした植物の一株を
私めにいただければ、私としては非常にうれしいのだが・・・と。ま、こういう要望をお伝えしたわけです。
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何事も交渉ですね。この交渉は、時間をかけて周到に気配りしたおかげで、私は首尾よく
瓔珞筒アナナスの一株を手に入れることができたのです。
しかしながら、その後この一株は、なかなか花をつけることがなく2年がむなしく
流れたのです。やっと、今年赤い茎が10ほど出てきて、開花したというわけです。
関心を持ち始めてから、自宅で花を咲かせるまで、実に3年ほど要したのです。
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後日談を申しますと、その豆腐屋は、その後店を閉じてしまい、今はどうなさったか
わかりません。私が植え替えてさしあげた鉢は、相変わらず、環七沿いの道端に
放置されたままです・・・。
やはり、あの時、恥を忍んで、鉢の株分けを申し出てよかったと思います。

ウチに今咲いている花と、老猫を加えました。

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by tamayam2 | 2013-05-04 06:11 | 日々のできごと | Comments(4)
Commented by nenemu8921 at 2013-05-06 06:28
1篇の小説を読むように、ご文章を楽しみました。
あなたの横顔を思い浮かべながら。
ヨウラクツツアナナスと表記されると、イメージが湧かないけれど、
瓔珞は賢治作品にもしばしば登場する単語ですし、アナナスがパイナポプルのこととは! そしてパイナップルが松・りんごとは!!
すばらしい解説です。
お豆腐やさんとのやりとりの作戦もあなたらしいなあ!と感動。
「よくやったぁ!賞」を授与したく存じます。


Commented by tamayam2 at 2013-05-06 09:50
♡  nenemu8921さん、
まあ、まあ!あなたのような文学に関わるお方から、「賞」を
いただけるなんて、天にも昇る心地です。ありがたく頂戴いたし
ます。世に名高い中年の小母さんの厚かましさ丸出しの話で
恥ずかしいのですが、この植物を手に入れたくて・・・ついつい
お里が知れました。(笑)この植物は、なかなか面白く、どうしても
一度はBlogで紹介したかったのです。
Commented at 2013-05-07 03:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tamayam2 at 2013-05-07 06:09
♡  cimarronさん、
ハンス君の突然死、どんな命でも死は悲しいですね。16年間いっしょ
に暮らした家族ですもの。最期は、あなたのお膝で・・・それは一番の
慰めです。きっとstrokeなのでしょう。1匹、1匹性格も違うし、運命も
違うのですから。ウチの猫ももう13歳、老いがめだちます。飼い主も
老い、猫も老い・・・お慰めをお祈りします、
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