【561】アート・オブ・我慢

Blog友のtabikitiさんから、尊厳の藝術Art of Gaman(我慢)のことを
教えていただいて、24日、上野の東京芸術大学に出かけてきました。
翌25日、NHK、日曜美術でも、この展覧会について取り上げていましたから、
ご存じの方もおられるでしょう。
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今年は、太平洋戦争中、日系移民が強制収容されてから70年の節目にある
年だそうです。アメリカ在住の日本人は、移民とは言え、敵国日本に有利な情報を
もらしたりする恐れがあることから、12万人以上の人々がある日突然、住まいも
農地も取り上げられ、アメリカの奥地にある強制収容所へ連行され自由を奪われました。
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粗末な収容所では、人々は、通し番号で呼ばれ、個人の尊厳は著しく損なわれたの
です。そういう辛い生活は、終戦まで続いたようですが、当事者は、その記憶を封印し、
多く語ることをしませんでした。最近になって収容所生活をした人々の遺族から、
遺品の中に非常に手のこんだ手工芸品があることがわかり、それを収集して展示されることになりました。
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芸大の校門のところに植わっていたナンキンハゼ

それが、2010年にアメリカ・ワシントンのスミソニアンアメリカ美術館
レンウィック・ギャラリーで展示され反響を呼びました。今回の日本での展覧会は、
ワシントンの内容の日本公開版のようです。東京の他、福島、仙台、広島、沖縄でも
順次公開されるようです。

  関連HPは、ここ

アート オブ 我慢と名付けられたその展覧会は、いつまでそういう不自由な
生活が続くかわからない状況で、材料も道具もないのに、人々が廃材や自然の拾得物の
中から、ものを作り出して、生きる喜びを見出していたこと、日本人の手先の器用さ、
創造の中に生きる意味を見出していた人々の精神の気高さ・・・そういう
ものにアメリカ人が尊敬の念を抱いたからでしょう。
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杖や、机、腰かけのような実用品から、自然に曲がった木の枝を蛇に見立てた彫刻、
何かの紐をほどいて編んだバスケット、貝殻で作ったブローチなど、
愛するだれかに贈り物として上げるために、手をかけ、ひまをかけ作った装飾品なども含まれています。
小さな手製の仏壇、そろばん、二宮尊徳の薪を背負う少年像など、ああ、海を渡った
移民も我々と同じ価値観を持ち続けているのだ・・・と感動しました。

閑話休題
近ごろ、アメリカのオバマ大統領が再選されたわけですが、オバマ氏は
人種的に言うと、WASP(White Anglo-Saxon Protestant)には属さない人です。
ケネディーが登場する前までは、WASPの条件を満たさない者は大統領には
なれないと言われていました。それが、カトリック系のケネディが登場し、
キリスト教のProtestantでなくても大統領になれるのだと注目されたのです。
オバマ以後、Whiteでなくても、Anglo-Saxon、Protestantでなくても、
そういった属性は、問題ではなくなりました。

話は違いますが、この一年、合衆国で生まれた幼児の数は、はじめて非白人が白人を
上回ったということです。非白人というのは、ヒスパニック系、黒人、アジア系などですが、
その人たちが50.4%で、対するヨーロッパ系の白人が49.6を占めているということです。
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上の写真は、ウチの孫が幼稚園の砂場で遊んでいる写真なのですが、
行列の右端の男の子を除いて、後の4人が非白人系です。ウチの孫は、
日本人とアメリカ人とのハーフで、(左の2人)アジア系家族の子供ということに
なります。
アメリカに住んでいると、民族的にどこの出自であるか、いちいち気にしては
おれません。ただひたすらに、自己表現してフェァーに生き抜くほかはありません。

この展覧会で示された日本人の、厳しい状況におかれても美しさにこだわり、
ものを大事にし、人に認められようが認められまいがいつもbetterを目指して
努力する健気さを、日系の血を引いている孫たちが受けついてほしいものだと
思いました。

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by tamayam2 | 2012-11-26 16:34 | 日々のできごと | Comments(10)
Commented by pfaelzerwein at 2012-11-26 18:48
我が遠縁も初代が強制収用に関わったようですが、二世の子息二人は日本に留学させていたので全く経験せずに、その間の費用のことなどで母などが連絡を取っていたのを聞いています。直接の収容体験は独日協会の人から聞きました。

「二宮尊徳の薪を背負う少年像」は我々にとっても馴染み深いものですが、戦前の修身教育や特に戦時体制になってからのこうした素朴な教えなどは国家主義的に利用されていて、現在のイスラム原理主義のグレーゾーンとも似通っていて、もし同じような戦時状況になれば日本人を収容することも考慮として挙がってくる状況は今も変わらないかと思います。

しかし、上の子孫の四世などの世代を見ると、血も混じってしまっていることもありますが、こうした独特の日本のイデオロギーとは無縁の存在で、日系人の収容などはとても考えられないです。
Commented by ikutoissyo at 2012-11-26 23:42
Art of Gaman、放送を観ました。
材料もない状況の中で、美しい手仕事を残していましたね。
ネジまでついていたハサミにはびっくりしました。
監視も厳しかったという砂漠の中で、こつこつと手を動かしていた心の内は、いかばかりだったのでしょう?

行きたい、観たい、あれもこれも、秋の日は忙しいです。
Commented by kanmyougam at 2012-11-27 10:45
Art of Gamanの放映を見たことがあります。
作品は収蔵されていたのですね。
子どもたちみんな明るく元気ですね。
お孫さんの幼稚園の様子を見ていて世界がこんな感じなのだと実感しました。
当たりまえのことが当たり前でありたい。
Commented at 2012-11-27 14:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tabikiti at 2012-11-28 12:19
リンクありがとうございます。
高知から一番近くの、広島会場に予定を取り、行こうと思ってます~^^
Commented by tamayam2 at 2012-11-30 07:30
♡ pfaelzerwein さん、
お宅の遠縁の方と関係があるのですね。私の友人にも実際に
収容所生活をされたご家族があり、この件は他人事とは思え
ませんでした。ははぁ~、二宮尊徳のあの像は、国家主義の
おしつけにつながるのですね。単に努力を奨励するイコンか
と思っていましたが・・・昔の小学校にはどこにもありましたね。
アメリカの場合、不自由な生活ではありましたが、ひどい虐待が
あったというわけではないらしいので、その点ほっとしました。
だからこそ、看守の目を盗んでささやかな創作が可能だったらしい
ので。収容所と言ってもドイツのケースとは相当違うので。
Commented by tamayam2 at 2012-11-30 07:37
♡ ikutoissyoさん、
明日から12月、なんとなく気忙しくなりました。私も展覧会どころ
ではないのですが、ちょっと近くまで参りましたので・・・
日本人は、平時はおとなしいですが、何か事がありますと、
強いですね。必要は発明の母というように、不自由な生活
の中でも何かを作り出す能力、不自由を満たそうとする意欲が
立派です。モノづくりを大事にしてきた伝統があるのでしょう。
Commented by tamayam2 at 2012-11-30 07:39
♡ kanmyougam さん、
多くの方がTVでごらんになっているのですね。私は、めったに
TVを見ないのですが、たまたま・・・孫の世代では、ほんとに、
国際色豊かです。>当たりまえのことが当たり前でありたい・・・
同感です!
Commented by tamayam2 at 2012-11-30 07:44
♡ cimarron さん、
米国に住みながら、日本の文化や生活様式を大事になさって
いる様子をうかがい、いいなぁと思っています。とくにご家族に
理解があるのは、cimarron さんの影響かと思います。私も
いろいろな人たちと一緒に暮らしましたが、人間は、偏見さえ
持たなければどこの国の方とも話しあえますね。ステレオタイプ
に考えなければ・・・それがなかなか難しいことですが。
Commented by tamayam2 at 2012-11-30 07:45
♡ tabikiti さん、
お宅のBlogで東京展のことがわかりよかったです。ありがとう
ございました。Blog友はいいわね。
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