【539】九月の銀ブラ、その後

先回【538】で、銀座四丁目の角、サッポロ銀座ビルに掲げられた
「あきたびじょん」の女性について触れた。
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この広告について、どなたからもコメントがなかったが、友人からのメールで
日本を代表する写真家、故木村伊兵衛氏の「秋田おばこ」シリーズの一作品と判明した。
60年前に撮影されたこのモノクロ写真は、今も人を惹きつける魅力がある。
やや遠くを見つめる澄んだ瞳、考え深そうな表情、現代女性のような騒々しさがない。
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朝日新聞6月8日に、「ポスターの君、今いずこ?」という記事が載った。

それによると、モデルの女性は、旧大曲市(現大仙市)角間川出身の柴田洋子さん。
その後結婚して、三上洋子さんになった。この写真は、19歳のときという。
地元の写真家が野良着姿の彼女の写真を撮り、それが入選、木村伊兵衛氏の目に留まった。
それから、木村氏は、1952年~71年にかけて秋田を21回も訪れるほど秋田に入れ込んで、
たくさんの人々の表情を撮影した。「秋田おばこ」シリーズは、木村氏の代表作となった。
おばことは、若い娘さんのこと。

洋子さんは、地元でバレエの教師をしていたが、その後日系アメリカ人と結婚、1967年に渡米した。
結婚後も年に一度は、秋田に帰ってきていたが、2010年にアメリカで亡くなったという。
60年の過ぎ去った日々を思う。

今年、この美しい女性の写真が、秋田の魅力を発信する戦略として採用され、再び人々の
注目を集めている。

私の友人は、木村伊兵衛氏が気の毒、ともらしていたが・・・60年をすぎて著作権
が失われたのだろう、美しい女性は、東北支援という新しい役割を担って生き返ったと
言うべきだろう。

でもね・・・「どこまでもニッポンでいよう!」、「ユタカな国へ」というキャッチフレーズは曖昧で、私には、意味がよく通じない。
もっと、美しく、力強いメッセージは考えられなかったか。
ニッポンとかユタカな とか、外国人の舌足らずのような日本語をなぜ使うの?

オリンピックの応援じゃないのだから、しっかり漢字かな混じり文で、言いたいことを
はっきりとおっしゃいよ。

by tamayam2 | 2012-09-20 12:31 | 日々のできごと
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