ドイツの町(3)ヴュルツブルグ

(ドイツの町に関するお話の最終回です。)

ヴュルツブルグ(Wuerzburg)と言えば、ロマンティック街道の
入り口として有名。日本人の観光客は、ここからローテンブルグ
を経て、さらに南のドイツらしい町々を巡ります。

今年は、特に十年に一度上演されるという、町ぐるみでキリスト教の
受難劇を演じるオーバーアマガウ(Oberammergau)へ世界中から
観光客が訪れたと聞いています。

わが友人は、最後の日に、世界遺産である司教座のレジデンスと、
小高いところにそびえるマリエンベルグ要塞(13C~18Cまで
司教の居城)に案内する予定だったようです。
まぁ、それがこの地方の観光ハイライトなのです。

友人夫婦と旅をしながらいろいろ話しているうちに、ご主人の
出身地がヴュルツブルグであること、1945年の戦災でご実家を
はじめ町中が灰燼に帰したこと。ご両親がお医者様であったこと
など・・・聞いているうちに、ふと、シーボルトのことを思い出し
たのです。

シーボルト(1796-1866)は、鎖国時代の長崎出島に留まって
商館付き医師として働きながら、日本の植物を研究したことは、
日本ではよく知られていますが、ドイツでは、一般の人に
ほとんど知られていません。
じつは、シーボルトは、ここヴュルツブルグの出身で、
ヴュルツブルグ大学で医学(眼科)で学んだのでした。

ホテルでもらった市内地図に「シーボルト博物館」というのを
認めた私は、できたら、そこに立ち寄ってみたいと提案しました。
私が、以前に訪れた2006年の時点で、私は、ここに博物館が
あることを知らなかったのです。
   過去ログ:2006年6月 ヴュルツブルグにて 

シーボルトの博物館としては、オランダ、ランデンにある
シーボルト・ハウスのほうが内容的にも充実しています。
シーボルト事件で問題になった国外持ち出し禁制品の
日本地図の実物も見ることができます。
   過去ログ:2006年10月シーボルトとアジサイ

さて、ドイツの町々で見た植物について少しメモしておきましょう。
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上の写真は、ブドウの木ですが、建物の壁面に這わせるように
仕立てられています。茎は細く、根元に15cm角ほどの水遣りの
スペースが空いているだけです。ブドウはずいぶん乾燥に強い
植物なのでしょうね。日本のように棚仕立てにしないことを
面白く眺めました。
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住宅街の中で見かけた梨の木。壁に沿って実がたわわになっています。
バートレットという種類でしょうか。皮が赤っぽくて香りがよいもの
です。上は、りんごです。
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ときには、シジュウガラの餌になっています。人間は珍しくない
果物だから盗って食べたりしないみたいです。
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こちらは、Hofgartenと言い、司教様の夏の離宮です。
8世紀ごろからここに司教座がおかれ、司教様はこの辺一帯の
領主であったのです。入り口に見える円錐形にキチンと刈り込まれた
木は、とても植物とは思えませんが、権力者は、こういうロココ風
の人工美を愛したようです。
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樹木で幾何学模様を描くのもこの時代の流行だったのでしょうか、
きちんと壁になりきっている木立。
(私は、よく躾けられた木と呼んで痛ましく眺めます。)
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ヴュルツブルグの町で見たワイン酒場の看板。
サルがワインを飲んでいる図は、ちょっと愉快。

シーボルトの話が盛り上がったところで、我々は、予定変更して
ヴュルツブルグ大学付属植物園へ。広大な園の一隅にシーボルト
が日本から持ち帰った植物が集められたコーナーがありました。

はるばる海を渡った植物の種が150年以上も継承されていると
思えば、一つ一つの植物たちに愛着を禁じえません。
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上は、私にとって初見の花、クサボタン 標識にも日本語で
Kusa-botan と記されていました。
クサボタン【キンポウゲ科センニンソウ属 
           Clematis stans Sieb & Zucc】
学名からわかるように、クレマチスの仲間。
ハンショウヅルなどとも親戚ですね。日本原産ということですのに、
あまり見かけない花です。
by tamayam2 | 2010-09-04 13:14 | たび | Comments(4)
Commented by nick-1 at 2010-09-04 19:30
確かにクサボタンですね、さすが律儀なドイツ人でしょうか。
気候も環境もマッチしていたのもあると思います。
Commented by kimiko_shibata1 at 2010-09-05 09:35
おはようございます。
素敵なドイツの旅、ご紹介ありがとうございます。
今年はシーボルトに関心を持ちましたので余計にジ~ンときます。
ヴュルツブルグ大学付属植物園、行けるものなら行ってみたいものです。
kusaーbotanの標記嬉しいですね。
赤城山にあるクサボタンは白くてあまり開かないです。
少し違うのでしょうか、・・・花が終わるとお髭が出てきて素敵です。
Commented by tamayam2 at 2010-09-07 22:28
◆ nick-1さん、
ヴィーナス・ラインで咲いていた花が、ドイツの南部
地方にあるなんて、本当に不思議です。律儀なシーボルト
さんが、種を持ち帰ったのでしょうかね。シーボルト
の植物のコーナーには、大きな山椒の木があって、
実がたわわになっていました。葉を一枚取って匂いを
かぎましたら、まさしくあの芳香でした。山椒の実
の佃煮を作りたくなりましたよ。
Commented by tamayam2 at 2010-09-07 22:35
◆ kimiko_shibata1 さん、
赤城山にもあるのですか。センニンソウと同じ
種類ですから、お髭が出てきますね。センニンソウは
ドイツの線路沿いにはびこっていて、吹き出た繊維
がフワフワしています。ブッドレヤーも雑草のように
生えているのですが、あまり蝶は見かけませんでした。
やはり涼しいからでしょう。
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