植物図鑑の絵

先日、通りがかりの書店で「古書の中の植物展」
という展覧会をやっていたので、覗いてみた。
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『本草圖譜』(ほんそうずふ)という江戸時代に
書かれた日本最古の植物図鑑の一部を見ることが
できた。岩崎 灌園が、文政11年(1828年)に
刊行した図譜は96巻にのぼる。約2000の主に植物が
精密に描かれている。本草学(今の薬学)のためなので、
植物以外に若干の動物も含まれているという。
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むかしは、写真もコピーも
無かったのだもの、
すべては、
筆で精密に書写
するしかなかった。

そのことを
思えば、
いまは、何と
恵まれた時代
なのだろう!


そこでは、同類の古書のページを切り取って売っていた。
私の財布に見合うほど廉価だったので、植物の精密画を数枚
買った。額に入れて壁に飾ってもよいかなと考えた。

西洋風に言うとボタニカル・アートというのだろうか。


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私は、花や葉だけでなく、実や根がどういう形をしている
のか、いつも知りたいと思っているので、美術的に美しいと
いうより植物図鑑のような正確な描写に興味がある。

ページを切り取られた絵の描き手は、辻 永(つじ ひさし)
(1884-1974)という方で、原本は『萬花圖鑑』(まんかずかん)
ということがわかった。

たくさんの日本画を描かれたのに、没後、遺作がページごと
切り離されて、文字通り切り売りされちゃ、遺族の方が見たら
悲しいだろうと思ったり、1ページでも売れるというのは、
すごいことだと思ったり・・・俗人はいろいろなことを考える。

細い筆で描かれており、一部が彩色されている。
この図は、さんせう
サンショウ 山椒 ミカン科 Zanthxylum piperitum】
春の木の芽あえ、しらすと山椒の実の佃煮・・・日本人に
とって親しい植物ですね。


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この絵を描かれた
辻氏に
ついて、
調べようと
思って
いたら、
たまたま
読んでいた
本に、彼の
晩年の
記述が
あり
驚いた。









著者の日野原氏は1911年生まれ、今年99歳になられる、
東京聖路加病院の高名な医者。
先生が最期を看取られた患者のうち、とくに印象深かった
22人の人の生き方、死に方について語っている。

読書の喜びは、ページをめくれば、時空を越えた人々と
いつでも会話できるってことですね。

日野原 重明著『死をどう生きたか』中公新書1983年
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by tamayam2 | 2010-02-11 13:03 | 日々のできごと | Comments(20)
Commented by aamui at 2010-02-11 14:59
こう言う偶然って嬉しいものですね!歳を重ねたからでしょうか こういう瞬間が増えてきてとっても幸せな気がします 又この本読んでみよう いつもありがとうございます
Commented by kimiko_shibata1 at 2010-02-11 17:18
こんばんは
寒い日になりました。
でも素晴らしい出会いがあって心は暖かいですね。
古い本ということで、右から読んでしまい「うせんさ」・・??はてなんだろう??・・粗忽者です。(笑)
さて、便利な時代に暮らして心は貧乏とならないように暮らしたいですね。
素敵なお話にすっかり嬉しくなってしまいました。
矍鑠とされて飛行機で移動し、中で原稿をお書きになられる日野原先生、素晴らしい先生です。
Commented by tamayam2 at 2010-02-11 19:28
♪ aamuiさん、
そう、歳を重ねたからこそ味わえる幸せかしらね。
この本の中には、知っている人も知らない人も、有名
な人も無名な人も含まれていますが、どの死も
個性的で、かけがいのないものです。立派な死に方
というのでしょうか、感銘を受けました。
Commented by tamayam2 at 2010-02-11 19:35
♪ kimiko_shibata1さん、
本当に冷え込んでいますね。そちらは雪?
>「うせんさ」・・・ははは、面白いですね。
この本は、『本草圖譜』よりずっとあとの明治
時代の版です。こういう世界に足を一歩でも
入れ込むと大変なことになりそうなので、近づく
ことをためらっておりましたのに・・・・
さて、日野原先生のあのパワーは信じがたいこと
です!医学、神学、音楽・・・多面的な才能をおもち
です。
Commented by アサコ at 2010-02-11 21:59 x
私は、ヨーロッパの古いボタニカル・アートをお土産にいただいて、額に入れて飾ってます。当時の人たちにとっては、記録・図鑑のようなものだったのでしょうが、そのままの写生って、美しいと思います。画家が感情をこめたものは、その感情の波動にあった人に感動を与えるけれど、写生はだれにでも同じ感動を与えるような気がします。
Commented by echalotes at 2010-02-12 04:53
雪の中からこんばんは♪
tamayamさんのかわいらしい梅の写真と「さんせう」の美しさとあたたかさを感じる絵を抱えて、今朝は外出しました。私も「うせんさ」って読んでしまいましたよ~。辻永さんは長生きされたんですね。辻さんの晩年の頃は私も存在していたと思ったら、それだけでなんだか嬉しくなりました。植物を愛する人は長生きなのではないかなってふと思いましたよ。
「さんせう」、日本の実家の庭にも植わっていました。手触り、香り、葉の形…いろいろ蘇ってきました。辻さんが見たさんせうがあって、それを描いて、時がたって、tamayamさんがそれを手にして、こうして紹介されて、それを見た私はそこからまた違うさんせうを夢見て…こんなふうに“伝わる”っていいですね。
ありふれていますが、“畳の上で死ぬ”ということがどんなに幸せなことか、できれば柔らかい朝陽の中で…そう思ってるときっとそうなりますよね。大変なことがあっても、長生きをすることは悪いことじゃないですね。長生きをすること、いろんなことをまた発見できるし、いろんなことを“伝える”こともできるんですものね。日野原先生もそうされてるんですね。私は、俄然辻永画伯に興味が湧きましたよ!!
Commented by kanmyougama at 2010-02-12 11:03
こんなことが(かれているようなことが・・・・)気にとまるようになりました。
呼んでみたくなります。
辻画伯の生きた時代がなせることでもありましょうが、・・・彼も確か従軍画家の一人・・・・、間違っていたらごめんなさい・・・ではすまないですね。
Commented by tabikiti at 2010-02-12 11:09
額に入れて飾りたいような絵ですね。
日本人ほど植物を愛でて
食する草食系民族はいませんね^^

山椒の生の葉を鰹のたたきに少し散らして食べます。
Commented by bella8 at 2010-02-12 16:22
現代のボタニカルアートよりずっと味わい深いですね。
カラーコピーはお手軽で有難いですが、随分見落としている部分が多いと感じます。
今、梅が綺麗ですね。
寒さの中微笑んでいるかに見える梅に力づけられます。

Commented by tamayam2 at 2010-02-12 16:34
♪アサコさん、
ヨーロッパの古いbotanical art・・・ぅわわ~いいわね!
そういう世界にはまったら、どうしーよーと思いながら
今までぐっと堪えていました。それが、先日、魔がさして
本当は、骨董品、美術工芸品がすきなんですが、親が
そういう傾向があり、それを引き継いだものの苦労を
次世代に負わせまいと・・・。写生の魅力はまた格別
ですね、おっしゃる通り!
Commented by tamayam2 at 2010-02-12 16:43
♪echalotesさん、
そちらはすっかり雪の中ですね。ケルンからの便りに
よると、ライン川沿いの町々では今日からカーニヴァル。
受難週の前の大騒ぎが始まったそうです!?!
Blogでは自分が美しいと思ったものを写真でお伝え
でき、人々と気持ちを共有できるのが、いいですね。
CopyやPaste、scanningや写真の加工・・・こんな
ことが素人の書斎で簡単にできるなんて、辻氏の
世代の人が見たら眼を見張ることでしょうね。
長生きで、しかも活動的な日野原先生・・・私の
周りにも80代のかくしゃくとした先輩がいっぱい!
一日一日を大事にすごしましょ!カシューちゃんに
よろしく!
Commented by tamayam2 at 2010-02-12 16:50
♪ kanmyougamaさん、
制作の活動的な日々をお過ごしの kanmyougamaさん、
昨日、TVで出水市に鶴の渡りが集中し過ぎて・・・問題
になるかも・・とか報道していました。何事も一極集中は
よくないですね。辻氏は、私の調べたところ、日本芸術院
の大御所で、文化功労者・・・従軍されていたかもしれま
せん。山羊を飼っていて山羊の絵、植物の絵を多く描か
れたようです。芸術をする方は長寿の人が多いですね。
世事に煩わされず、美しいものに関心を集中している
からでしょうね。
Commented by tamayam2 at 2010-02-12 16:54
♪ tabikitiさん、
今日は、気分はいかがでしょうか?山椒といえば・・・・
そうですよ、鰹のタタキ・・・これ、これ。山椒がなけりゃ
さびしいですよね。お宅は四国でしたよね!鰹の本場
ですね。私、昨年土佐に行ったとき、鰹に醤油をかけちゃ
だめ、塩でお召し上がりください、といわれました。塩で
食べるのは初めてでしたが、おいしかったぁ~!(*^v^*)♪
Commented by tamayam2 at 2010-02-12 18:02
♪ bella8さん、
お宅のお母様のお話、すばらしいです。送別会の
和やかな家族Partyの様子、うらやましく拝見しました。
私の母も太平洋を渡って会いに来てくれました・・・
どなたかが付き添えば可能だと思います。気力が
あることが何よりですね。新宿御苑の梅も楽しませて
いただきました。いまちょっと家のリモデルをしており、
なかなか出られません。
Commented by nick-1 at 2010-02-12 23:12
植物の精密がの面白いとこは、花や実も一緒に描かれていたり、おまけに根っこもしっかり描かれているとこかな。
私も写真にない魅力を感じ、何度か展覧会を見に行った事があります。
tamayamさんもご存知のかんてんぱぱには、そんな精密画を常設
展示
してる、美術館が出来ましたので、次回機会があったら是非どうぞ。
Commented by tamayam2 at 2010-02-13 07:11
♪nick-1さん、
そうなんですよね!(同感)花だけでなく、葉のつき方、
根っこまでしっかり描かれているので、大変役に立ち
ます。しかも、正確さに誠実な味わいがあります。
かんてんぱぱ・・・春になりましたら、是非出かけたい
です。あの社長さんの経営姿勢、立派で尊敬して
います。製品(わらびもち)も愛用していますし・・・
nick-1さんからいいところを教えていただきました。
ありがとう!
Commented by namiheiii at 2010-02-13 10:40
数年前東大の日光植物園分園を訪れた時、植物画の展示をやっていました。筆で描かれた精細な描写は感動的でした。サイエンスや芸術を超越した世界がありました。
Commented by tamayam2 at 2010-02-14 19:43
♪ namiheiiiさん、
私、昨年秋にはじめて日光植物園に出かけ大変感銘
を受けました。冬季は閉館ですから4月までまたなければ
なりませんね。日光へ行く楽しみができました。植物の精密
画は写真とは違う別のすばらしさがありますね。昔の人々は
たんねんに物事を観、描写することに心魂を注ぎました。
それが超越した世界を生みだしたのでしょう。
Commented by 寧夢 at 2010-02-15 16:30 x
美術館や博物館の常設店などを覗くと、植物や動物のスケッチ・デッサンが数多く見られる。その精巧さに驚かされると共に、筆で描かれたものがインク描きのボタニカルアートよりも劣るはずが無いと思った次第。ただ、実際目にする機会が少ない。

家にある古い植物図鑑は、写真ではなく絵だった。最近の絵本では、わざわざ写真ではなくてスケッチ画を載せているものも多い。
デジカメが便利な世の中だけに、時間をかけて観察し写し取る技は大切にしていきたいと思った次第。

そういえば、昔、お花の御稽古の際、先生の御手本をスケッチしてから、自分で活け直して、再度、先生に手直しして頂いたなあ。
Commented by tamayam2 at 2010-02-16 11:16
♪寧夢さん、
私は写真が大好きですが、最近、手書きのスケッチの
よさに着目しています。植物図鑑でも手描きのほうが、
実物の特徴をよく捉えている感じがするときがあります。
華道の先生がおっしゃる、
>お花の御稽古の際、先生の御手本をスケッチしてから・・・
こういう方法は、とてもいい方法だと思います。
写真だと風が吹いたり、光が強すぎたり、葉のうらが
よく見えなかったり、茂み全体の様子がとらえられ
なかったりして、あとからしまった!と思うことが
多いのです。直感で一番大事な部分を目に焼き付けた
ほうがいいの。
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