映画『劍岳 点の記』

劍岳(つるぎだけ)は富山県、北アルプスにある
嶮しい山(2999m)。

明治39年、陸軍陸地測量部は、日本地図の
最後の空白部分を埋め、日本地図を完成させる
ため、人跡未踏の山に測量士を派遣した。
 映画『劍岳 点の記』公式ページ
測量士、柴崎 芳太郎に扮したのは、浅野 忠信
この俳優の仕事に対する静かな情熱が、この映画では
一番清々しかった。(ちょっと畏れ多いことを言わせて
いただくと、この人、皇太子様のお顔だちによく似ている。)

測量隊の案内役になった、シェルパの香川 照之という
俳優もすごかった。眼力が冴え冴えとしていて、野生的で
功名心など微塵も無く、人間的魅力があった。
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映画のストーリーに、特に大きな展開があるわけでは
ないが、やはり大自然の嶮しさ、崇高さに圧倒されてしまう。
こんな山に誰もが登れるはずもないが・・・一生に一度でも
あんな雄大な山の峰に立ってみたいと思ってしまった。
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明治時代は、足袋にわらじ、綿入れに毛皮のチャン
チャンコ・・・・今は、防水の効いた登山靴、ゴアテックス、
ダクロン、フリース素材と、何でも揃っている。
ああ、なんという文明の恩恵だろう!

山を歩いていて、三角点の石柱を見たことがあるが、
日本全国津々浦々に、あの三角点を埋める作業は
どんなに大変な作業だったことだろう。あれがあるから
こそ等高線を読んで地形を知ることができるのだ。

あんな高山に、石柱や櫓を建てるための四本の柱を担いで
登っていくなんて、仕事とは言え、つらい仕事だ。

この映画では、CGや空中撮影など近代的な技法を使わず
完成させたと言う。それが、監督の木村 大作
こだわりのようだ。

映画の終わりに出たクレジットには、肩書きが一切なく、
すべて「仲間たち」・・・というタイトルの下、主演俳優、
制作スタッフ、地元の協力者や団体名が流れる。
原作者、新田 次郎の息子さん藤原 正彦の家族の名も
見えた。
新田 次郎の男らしい爽やかな山岳小説は、いずれも忘れがたい。

写真 上:22日 蓼科で、キリガミネヒオウギアヤメ
    下:    同     レンゲツツジ
     いずれも、日本固有種。
by tamayam2 | 2009-06-25 11:45 | 日々のできごと
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